スペイン ポルトガルとヨーロッパの辺境から始まり
いよいよワイン大国イタリアのご紹介です

イタリアワインの広告

<イタリアワインの特徴>

イタリアは 全土で気候が温暖で日照にも恵まれ
ブドウ栽培に適した環境であるため
国土のほとんどの地域で
ローマ時代からワインが造られてきました

イタリア国内のブドウ栽培地を示した地図

イタリアには
500種を超える土着のブドウ品種が存在すると言われています

土着のブドウ品種の存在地を示した地図

変化に富んだ土壌と多様な気候の影響で
各地で育まれるブドウの種類もその栽培方法も異なり
多様な品種が存在しています

土着のブドウ品種について説明した図


また イタリアは
1861年まで統一国家ではなかったため
国内のそれぞれの地方の歴史 文化が異なり
こうした背景も
多様な土着品種の存在に影響すると言われます

イタリアが統一される前に存在していた都市国家の所在を示した地図
イタリア中世の都市国家の風景


さらに イタリアでは今でも
スローフード運動が盛んなように

スローフード運動の宣伝ポスター
イタリア人の地産地消に対する意識の高さも大きな要因で
その土地でのみ栽培されているブドウ品種を
大切に守ってきました

地元で獲れた食材の地産地消を楽しむ人々

これから そんなイタリアの各地方のワインを
紹介していきます


<ピエモンテ・バローロとバルバレスコ>

イタリア北西部に位置しているピエモンテ州

西はフランス 北はスイスとの国境があり
アルプス山脈の南に位置し
州の名前は「山の麓」を意味しています

ピエモンテの丘陵の風景
ピエモンテの所在地を示す地図
ピエモンテの宣伝ポスター

ピエモンテでは イタリアでは珍しく
単一品種から造られるワインの文化が根付いています

なかでも有名なのが南部のランゲ地区
世界に冠たるバローロバルバレスコを擁しています


ランゲ地区の地図
ランゲ地区の風景

@バローロ

「王のワインにして ワインの王」

バローロのワインボトル
バローロの宣伝ポスター

バローロの伝統的な個性は
細やかな酸と重厚感を感じるタンニン
獣やなめし革のような香りです

バローロのワインの色合い

3年以上
そのうち2年間は木樽で熟成させるという熟成義務があり
アルコール度数は13%以上と定められています

@バルバレスコ

イタリアワインの女王

バルバレスコの宣伝ポスター

バローロに比べて
エレガントでビロードのような滑らかさから
「イタリアワインの女王」と形容されており
ネッビオーロ種のもつ繊細さ 優美さが特徴です

バルバレスコワインのボトル

バローロより1年短い2年以上の熟成義務があり
アルコール度数12.5%以上と定められています


@アルバ

ピエモンテに広がる
なだらかなランゲの丘陵地帯に位置する
古都アルバ

アルバの街並み

ここは白トリュフの名産地で 美食の都でもありますが

白トリュフ
白トリュフを用いたパスタ料理

アルバの東側にバルバレスコ 
西側にバローロの畑が広がっています

バローロ バルバレスコの位置関係を示す地図
バローロの町の風景
バルバレスコの町の風景

@バローロとバルバレスコの違い

バローロは王 バルバレスコは女王と評されますが
実際のところ 両者の間には際立った違いは見出しにくいです

バローロとバルバレスコの違いについて説明した表

渋みは
バローロの方が強く バルバレスコの方が滑らか

酸味は
バローロの方が鋭角的で バルバレスコの方が柔らかい

熟成は
バローロはゆっくりで バルバレスコの方が早く進む

などの特徴があるといわれています


<ピエモンテはイタリアのブルゴーニュ>

ピエモンテは
しばしば「イタリアのブルゴーニュ」と称され
ピエモンテの造り手たちも
ブルゴーニュを「兄弟畑」と称することがあるそうです

丘陵にたたずむピエモンテのワイナリー

ピエモンテでは
単一畑ごとに格付けがなされている
ブルゴーニュのクリュの概念を導入し
テロワールの個性を活かすバローロを生み出しました

畑名が公式にラベルに表記できるようになったことで
ますます畑ごとのテロワールにフォーカスしたワイン造りが
盛んとなっています

このあとのフランスワインの紹介で詳しく解説しますが
ブルゴーニュのワイナリーは
一般的に家族経営の小中規模のブドウ栽培農家が中心で
ブドウ栽培家がそのままワイン生産者となる
「ドメーヌ」が大半を占めていますが

ブルゴーニュのワイン畑
ブルゴーニュのドメーヌたち

このシステムの採用によって
バローロのワインの品質は格段に向上しました

ピエモンテのワイナリーの風景

そのような生産者の大多数が所有する畑は
2~3haと僅かなもので 大きなところでも100ha程度

そのため年間生産本数も10万本未満と
ブルゴーニュと同じように少ないのが特徴です

こうした多様な生産者が造り出す
ワインのスタイルの多様性が
バローロの大きな魅力のひとつです
高橋医院