睡眠時無呼吸症候群と心血管疾患との関連
睡眠時無呼吸症候群は 心血管疾患とも深く関連します <睡眠時無呼吸症候群は心血管疾患と深いつながりがある> @睡眠時無呼吸症候群の心血管疾患への影響 睡眠時無呼吸症候群の 睡眠中の低酸素血症により交感神経が過緊張状態になって 心臓 脳 血管に負担がかかり *高血圧の発症リスクは2倍 *狭心症 心筋梗塞は3倍 *不整脈は2~4倍 *慢性心不全は2倍 *脳血管障害は4倍 に上がります そして CPAP治療により心血管疾患の死亡率は低下します 睡眠時無呼吸症候群では低酸素血症 睡眠の分断などにより *交感神経の過緊張 酸化ストレスの亢進 *炎症性サイトカインの産生亢進 *レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の亢進など さまざまな病的な状態が起こります それらにより *血管内皮細胞の炎症 機能障害 *血液凝固 血栓の形成亢進 が起こり動脈硬化が進行して心血管疾患の発症につながります @心血管疾患における睡眠時無呼吸症候群の合併 冠動脈疾患に睡眠時無呼吸症候群を合併すると その後の心血管死が4倍程度多くなります 一方で CPAP治療により心血管疾患の発症が予防でき *血管内皮機能障害の改善 *血液凝固の亢進の軽減 が関与すると推察されています <高血圧と睡眠時無呼吸症候群> @睡眠時無呼吸症候群では高血圧が多い 睡眠時無呼吸症候群は 高血圧の独立した危険因子で 二次性高血圧の最も多い原因です 睡眠時無呼吸症候群の患者では高血圧患者が多く 15~50%程度で高血圧を認め 睡眠時無呼吸症候群が増悪すると高血圧合併率が増えます @高血圧では睡眠時無呼吸症候群が多い 一方 高血圧患者さんの30~70%程度に睡眠時無呼吸症候群を認め 特に治療抵抗性高血圧では 80%程度に睡眠時無呼吸症候群を認めます *酸素飽和度が著明に低下した直後に 血圧の急上昇を認める ミッドナイトサージ *夜間に血圧が低下しにくいnon-dipper riser型 *治療抵抗性早朝高血圧 などでの合併が多く 睡眠時無呼吸症候群は 高血圧の発症より難治化に関与している可能性があります @CPAP治療の降圧効果 6か月のCPAP治療により降圧を認め 他の降圧薬との併用により治療効果が増強します 但し 低酸素の改善は降圧に必須ではなく 効果発現には他の機序の関与が考えられています <睡眠時無呼吸症候群における心血管疾患> 睡眠時無呼吸症候群では 心筋梗塞 心室性不整脈などの心血管疾患の発症率が 2~3倍高くなります 特に夜間(午前0時~6時)の発症が多く 突然死は2.6倍にも増加します <不整脈と睡眠時無呼吸症候群> 睡眠時無呼吸症候群の無呼吸により 心筋の炎症 線維化が起こり 興奮伝導障害が起き不整脈が生じます @心房細動 睡眠時無呼吸症候群の5%に心房細動を認め その発症率は健常人の5倍です 無呼吸イベント中に 洞徐脈 房室ブロックになることがあり 重症の睡眠呼吸障害の患者さんでは 心室性期外収縮が多い なお 睡眠時無呼吸症候群の治療により 心房細動の発症は抑制されます <心不全と睡眠時無呼吸症候群> 心不全の50%程度で 中等度の睡眠時無呼吸症候群の合併を認めます 睡眠時無呼吸症候群を自覚せず 適切な治療を行わなかった方が 知らぬ間に心血管疾患を発症し 心不全に至ってしまった可能性が考えられます
高橋医院