エマニュエル・トッドが語るコロナ後の未来
NHKのBS1スペシャル コロナ危機 未来の選択 世界の知性が語る「コロナ後の未来」 という 世界の識者にインタビューする番組に 昔 紹介したエマニュエル・トッドが出演していました 最近 あまり見かけなかったので懐かしいです この番組のナビゲーターは NHKの鎌倉千秋さん 最近は硬派の番組によく出演されていて 香港の問題をレポートされた番組は見応えがありました! さて トッドさんは 人口統計の解析により世界の動きを予測し ソビエト崩壊 トランプ当選などを予見してきた人で 反グローバリズムの最先鋒でもあります 春にパリがロックダウンされていた時は ブルターニュで過ごしていて 自分一人が世の中から取り残されたように感じたそうです <各国の死者数の差異をどう見るか?> 文化が似ていると 死亡率が同じようだ イギリス アメリカ ラテン諸国などの 個人主義的で自由な文化の国々は被害が大きく 一方 うまく対処できたアジア諸国 ドイツなどは 権威主義的な家族の伝統を守る父系社会で 男性の地位が高く 縦型で 上からの統制が効く国だ いかにも彼らしい指摘で のっけから興味深いです!(笑) 但し 国の存亡や社会の活力の尺度となるのは 子供を作れる能力で 高齢者の命を救える能力ではないと これまた いかにも彼らしい注釈を加えます(再笑) <経済的ダメージをどう見るか?> まず 今回の危機により GDPは大した意味を持たないことが再確認されたと指摘します GDPは 戦後社会のような 目に見える豊かさのみを成長の証と考える社会では 良い経済指標となっていたが 今は違う 社会的な豊かさを的確に反映しておらず 医療サービス 教育サービスなどを評価できない だから 医療 教育 社会の豊かさを示す新たな指標を作るべきだし 何が真の意味で生産的な労働なのかを もう一度 根底から考え直さないといけない 表面的な豊かさを求めて ひたすら走ってきたグローバリゼーションは 限界に来ている さすが 反グローバリズムの最先鋒です! グローバリズム批判の勢いは止まりません(笑) <今回の危機は グローバリゼーションの限界 歪みを明らかにした> フランスは マスクの国内生産を止め 全て中国から輸入していたので 深刻なマスク不足に見舞われた そんなフランスは 最早 先進国とは言えない 政府の対応は最低で 冷静に賢く対応する能力がなかった パンデミックと戦ったのは 政府でなく市民だった 過去の経済政策が問われている グローバル化というゲームに全面的に参加してしまった おめでたい国々がある一方で 自国の産業を維持し いまも必要な物資(検査キット マスク 人工呼吸器)を 製造できる国々がある イギリスとフランスは マネーの流れを占う呪術的思考にはまってしまい 産業力と医療制度を犠牲にしてしまった 今回のパンデミックは グローバリゼーションの棺に 最後の釘を打ちこんだようなものだ グローバリゼーションにより マスクすら自国内で生産できない社会になってしまった パンデミックに対処する専門機関も閉鎖された ここで立ち止まるのか また同じ道を走りだすのか よく考えないといけない こうした意見は さまざまな人が語っているので かなり聞き慣れてきました <なぜ 世界はグローバリゼーション一色になったのか?> 国民が国家のまとまりを壊したことが グローバリゼーションを可能にした 国内での教育格差が進み エリートと労働者が分離されて階層化が生じ 資本家は自分たちの利益のためだけのために 国内外の仕組みを変えてグローバリゼーションが進んだ エリート層は 地球規模での経済活動を展開するようになり 仕組みも変えた 生産拠点を低賃金の外国に移し 途上国の労働力を使い さらに自由貿易により利益をグローバルに追求した 一方で労働者層は 働く場を奪われ 職を失い 劣悪な生活を強いられるようになった グローバリゼーションにより 世界規模での生産効率は向上したが 先進国内部での産業システムは破壊され 単純労働は中国などの途上国に流出することになった その結果 アメリカなどの先進国内では 不平等がどんどん拡大して 生活レベル 平均寿命が低下し始めた 世界は この単純な仕組みを止められなかった 世界各国に不平等が蔓延して 反グローバリズムのうねりが ここ数年起きている トッドさんの話は 昔から聞き慣れているせいか 妙に具体的でわかりやすいです!(笑)
高橋医院