やがて世界は 新自由主義の時代になります

1980年代 レーガン サッチャーが
新自由主義の時代を生み出し
その後 長きにわたり 世界に大きな影響を及ぼします

新自由主義は
極端に状況を変え 今の資本主義社会を生み出しました

当時 物質的豊かさが上限に達していたため経済が停滞し
その停滞を打破するために 新たな政策が始められました

それは 規制緩和 減税 小さな政府 を
主たる目標とするもので
これにより時代は
大衆消費社会で 「差異」されあれば なんでも商品になり得る
まさに欲望の時代に突入したのです

政治 経済 社会がそうした大きな変貌を遂げている間に
哲学者が一貫して考えていたことは

社会とは共同幻想で そこにはより深い根拠などない
現実社会は表面的な仮面ゲームにすぎない

ということでした

フランス人の精神分析医のジャック・ラカンは
「鏡像段階」というコンセプトを提示しました

人は 生まれたときは
重要なものは自分の存在だけで
世界は自分中心に回っていると考え
他者の存在に気付いていない

しかし あるとき不意に
鏡の中に小さい自分の存在を見つけ
自分は全能ではないと悟る

私なる主体は 初めからある絶対的なものでなく
他者との関係性のなかにこそある

構造主義の時代の精神分析理論が 現実化したものです

哲学者から見ると 新自由主義の社会では
他者から観た自己像というファンタジーを
創造しあい投影しあっています

これは 真の自己像が欠落した自己像 による闘争状態で
嘘の現実を作り上げているにすぎません

しかし 社会はイメージの投影にすぎないので
それを利用して
人々により多くのモノを売ることが可能になります

そして 共同体におけるセルフイメージの行き交いを
うまくコントロールできれば 階級闘争を支配できます

まさに 新自由主義が目指すところです

一方で 新自由主義は
皮肉にも精神分析理論を受入れて
巨大な文化産業といも言うべき 広告産業を生み出しました

広告は まさにイメージを投影しあうことで
現代の人々は
絶え間なく自由の可能性 そのイメージに攻め立てられています

こうして広告産業は 人の心に入り込んで操作するのです

しかし これらすべては幻想の産物であり
本当の自分は存在していません

広告が提供する製品は
否応なしに型通りの人間を再生産します

哲学の理論は
無意識のうちに社会の現実に影響を与えます

新自由主義は
深い哲学的洞察を巧みに経済システムに取り入れ
人々をコントロールしたのです

自由で純粋な資本主義が併せ持つ
負の側面 ダークサイドの勝利と言えるかもしれません
高橋医院