ビオディナミ農法のワイン造り
ビオディナミ農法のワイン造りの話を続けます そもそも自然派ワインは 現代的なワイン造りへのアンチテーゼから始まりました 第2次世界大戦後 農薬や化学合成肥料がワイン業界を席巻し 生産者たちの労働は軽減されましたが 土壌やブドウの樹は活力を失い ワインの品質の低下が叫ばれました そうした批判を受けて 有機農法による自然派ワインが生まれたのです しかしビオディナミ農法は そんな流れとは関係なく その遥か以前から 「健全な自然のバランス」を追求する手法として 存在していました ワイン造りに限らず 広く農業一般で行われていたそうです ビオディナミ農法の土台となるのは 人類が農業を続けてきた経験により発見されてきた知恵です 自然界に存在するものの影響を 植物や家畜の育成に活かすための 知恵の集積を体系的にまとめたもので 畑の自然環境を 科学的なものを加えて変化させるのではなく 自然の力で調整していくために 肥料を変えたり 微生物の働きを活性化させたりします 土壌 植物 生物はもちろん 月などの天体の運行による重力の影響までも反映した 独特な栽培方法で 有機農法よりも さらに自然に深く入り込んでいこうという趣旨があります 他の自然派の手法と異なるのは 化学的 人工的なものを排除するだけでなく 自然の力を 引き出す 最大化することに 重きを置いている点です ぶどう畑全体を1つの生命体系と見なし 月の満ち欠けや宇宙のリズムといった もっと大きな枠組みのなかに位置付ける 生命体の統一性 バランス 抵抗力を高め 大地 空 地球 生態系の間に 調和のとれた生命条件を創り出すことを 目的としています 畑に生息する植物 小動物 昆虫 微生物 細菌などの関係が 人の手が加わっていなかった時代のような 自然なバランスに保たれることで 害虫や病原菌を殺したり避けたりせず共存することによって より良い品質の作物を得ようとするのです ここまでの説明を読んで 感じられているかもしれませんが 哲学的 スピリチャルな側面も大きく 現代文明に毒されている書き手には(笑) ちょっと とっつきにくい感じもします 東洋医学的である という指摘をされる方もおられます ブドウの木が何らかの病気にかかった時は ブドウの症状だけを見るのではなく それを自然界のバランスが崩れたサインと見て 土地レベルで考えます そして行うことは ブドウの樹に薬を投与して治そうとする西洋医学的な手法ではなく なぜ畑がバランスを崩したのか 土の健康状態を把握しバランスを整えていくことです なるほど 確かに 全体を見ることを重視する東洋医学的な感じがします では ビオディナミ農法でどんなことが行われているか それがお月見と どのように関係しているのか 次回説明します
高橋医院