イタリアの次は
最近 注目されているドイツワインについて説明します

ドイツワインの宣伝ポスター


<ドイツワインの特徴>

ドイツは 世界のワイン産地の中で最も北に位置
その冷涼な気候から
世界一美しい酸と繊細な芳香を備えるワインを
生み出しています

冷涼なドイツで造られるワインの特徴をまとめた表

北緯50度付近に位置するブドウ栽培の北限の地
日本でいえば
北海道の宗谷岬からサハリンあたりまでの位置です

ドイツの位置と北緯50度線を示す地図

ですからドイツ全土でブドウが栽培できるわけではなく
ワインの産地は北緯50度より南にある
南西部が中心になります

ドイツの主なワイン生産地を示す地図


生み出されるワインの最大の魅力は
世界一美しいとも評される
酸味と口当たりの良さにあります

冷涼な気候のドイツでは果実がゆっくりと熟すため
綺麗な酸味を備えたワインが出来上がります

その酸味と果実の甘みの絶妙なバランスにより
口当たりが非常に良く感じられる点が人気の一因です

ドイツワインの味わいの特徴についてまとめた図

また 辛口から極甘口まで
バリエーション豊かな白ワインが揃うのも魅力です


ドイツでは
戦後はワインビジネスとして甘口ワインが主流でしたが
1980年代以降 若手生産者の台頭や
品質を重視する生産者達のテロワール回帰が高まり

辛口ワインが増加し 現在は2/3が辛口となり
その味わいが世界で認められています

ドイツの辛口ワインの宣伝ポスター

世界におけるドイツのワイン生産量は第10位ですが
各地で確固たる人気を確立しています

それは
果汁糖度に基づく等級制度という独自のスタイル
上級品が約95%を占めるという高級志向など
「ドイツワインの世界」が確立されているからです


<ドイツワインの現状>

1995年にリースリング・ルネサンスが起こり
リースリング
再びドイツワインの王者とみなされるようになりました

リースリング・ルネサンスについて説明した図

2001年に
ドイツ人のワインへの出費が
ビールへの出費をほんの少し上回りました

家計に占めるアルコール飲料への出費の割合が
ビールが32.2パーセントに対し

ビールを楽しむドイツの人々

ワインが32.3パーセントとなったのです

ワインを楽しむドイツの人々

ドイツでのビール消費量は 年々減少傾向にありましたが

ドイツでのビール消費量は年々減少傾向していることを示すグラフ

消費量がビールワインよりはるかに多いドイツでは
この逆転は歴史的な事件ですが
現在 この差はますます開いています


また1981年以降
赤ワインの生産割合がコンスタントに増加し
2006年には36.9%に達し
ドイツ人の赤ワイン消費は増加しています

赤ワインを楽しむドイツの人々

一方 2019年には
日本でのドイツワイン輸入量が急激に50%も増加しました

日本の世界各国からのワイン輸入量をまとめた表

Wines of Germanyは
これは他の輸出国の伸びと比較し最も高い数字である
としています

日本国内での
ドイツワインが占めるシェアは未だ少ないものの
確かにその増加率は目を見張るものがあります

日本人はドイツワインの魅力に目覚めたのでしょうか?


<北国ドイツのさまざまな工夫>

北緯50度付近に位置するドイツは
世界のワイン産地の北限になりますが

暖流などの影響を受け
年間平均気温が約10度の比較的温暖な気候の下で
ワイン栽培が可能になっています

高緯度のために日照時間が短く
平均気温も低いドイツでは
良質のワインを造る為にさまざまな工夫がなされています

ドイツでは 傾斜地でのぶどう栽培が盛んです

ドイツでの傾斜地でのぶどう栽培の様子

傾斜面の畑は 全く平らな畑に比べて
15%以上の太陽のエネルギーを得ることが出来ます

傾斜面の畑は太陽のエネルギーを得ることが出来る機序を説明した図

そのため
ドイツの多くのぶどう栽培地は河川沿いに位置します

ドイツの大きな河川沿いに広がるワイン畑の様子

日中は川面の照り返しにより 畑に日が差し
夕方になり気温が下がってくると
暖められていた河川の放射熱により一帯の温度を保てるからです

確かに ドイツで遊覧船でライン河下りなどをすると
両岸の斜面がワイン畑だらけなことに気づきます


また ドイツでは古くから独自の技術力で
土壌や気候に合わせた絶え間ないぶどう品種の開発
が行われています
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