ドイツの白はリースリング 赤はピノ・ノワール
昔からドイツワインといえば 「甘口の白ワイン」のイメージがありますが 最近は少し様変わりしてきたようです <甘口から辛口へ 白から赤へ> 最近のドイツワインの生産量は 辛口の方が甘口より多くなり 赤ワインが生産量全体の約35%を 占めるようになっています ドイツの冷涼な気候の影響で ぶどうの果実は比較的ゆっくり成熟し 果実の酸が分解される工程もゆっくり進むので ワインには素晴らしい果実酸が残されます ドイツワインは 豊かな酸と残糖の絶妙なバランスがあり フルーティで繊細で とても奥行きのある味わいになるのです <白ワイン> ドイツで造られているワインの特長は なんといっても 上品で風格のある味わいであるということ 高級なものは 甘みも風味も豊かです また ドイツワインは昔から 圧倒的に白ワインが主流だったことも 特長のひとつです ドイツで生産される白ワインの 半数が甘口 残りの半数が辛口ですが 辛口は 主にドイツ国内で消費されるため ドイツ国外に輸出される白ワインの大部分は甘口となり 「ドイツワイン=甘口の白ワイン」 という評価が世界で定まりました ドイツの甘口白ワインの歴史は深く さまざまな種類のワインが生産されています <リースリング> ドイツで栽培されるブドウのなかでも有名なのが 白ブドウ品種のリースリングで ドイツの高級白ワインの多くが 繊細な甘みをもつリースリングから造られています 実際にドイツは 世界のリースリングの栽培面積の6割を占める リースリング大国で ドイツに植えられている全ブドウの約1/4はリースリングです リースリングからは 辛口から甘口 スパークリングまで 幅広いスタイルのワインが造られており 類まれなる芳香性と その土地の味わいを映し出す鏡のような敏感さは ワイン愛好家の心をつかんで離しません モーゼル地方とラインガウ地方が リースリングの2大産地とされています @リースリングの魅力 リースリングの魅力は *豊かでシャープな酸味 *酸味と豊かな果実味 ミネラル感の絶妙なバランス *極甘口から辛口 発泡性まで 多様なスタイルのワインを生みだすバラエティの豊かさ *うっとりするようなアロマティックな香り などで リースリングらしい 華やかな香りとエレガントな酸味のバランスの良さで 高貴品種として人々を魅了しています 若くドライなリースリングの外観は グリーンがかった淡いイエローの色合いで キラキラとした輝きは 酸度の高さを表しています レモン ライム グレープフルーツ 青りんごやパイナップルまで 爽やかで瑞々しいフルーツの香りも幅広く感じられます 一方 リースリングの香りの別の個性のひとつが ミネラルの一種といわれる「ペトロール香・石油香」で 偉大なリースリングでは 果実味や花の香りよりも強いミネラル感が際立ち 数年熟成されたリースリングは 石油や火打石といった目立った香りの特徴があります また アルコール度数が極端に上がるわけではないため 飲みやすさも人気のひとつです リースリングは ドイツ以外にも フランスのアルザス地方 オーストラリア アメリカなど 世界各国での栽培されていますが 生育が難しい品種のため 生産量は少ないです @リースリング・ルネッサンス リースリングは昔から人気のある品種でしたが 1 9 9 0年代後半から 世界的にリースリングの人気が再び高まり 現在リースリングは シャルドネに次ぐ人気品種の地位を得ようとしており 再び大きく注目されています @貴腐ワイン 甘口のリースリングといえば 何といっても高貴な「貴腐ワイン」 貴腐ワインは 貴腐菌が白ぶどうに付着し 水分が枯れて凝縮した味わいとなった極甘口ワインで 貴腐菌にまとわれて収穫されたリースリングは 極上の極甘口ワインへと熟成します <赤ワイン> 最近はドイツの赤ワインが注目されていて なかでもピノ・ノワールは高く評価されています ピノ・ノワールは ドイツではシュペートブルグンダーと呼ばれ 黒ブドウとして最大の栽培面積があり 生産量もフランスとアメリカに次ぐ世界3位を誇ります その品質は 有名なワイン評論家のジャンシス・ロビンソン女史が 「ブルゴーニュのピノを追随して 価格が手の届かない成層圏に突入する前に むしろドイツのピノ・ノワールを今すぐ買うべき」 とお勧めしているほどです 書き手も勉強不足の頃は 「ドイツの赤ワイン?」などと馬鹿にしていましたが ピノ・ノワールをいただいてから お恥ずかしいことに 認識ががらりと変わりました(苦笑) ドイツ国内でも 比較的温暖なバーデン地方やファルツ地方が ピノ・ノワールの優れた産地として知られています
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