スイスのワイン
ドイツのお隣の国 スイスのワインについてご紹介します スイスで生産されるワインのほとんどは 国内で消費されてしまい 海外に輸出されるのはわずか1%ですから 日本で見かけることは滅多にありません しかしスイスは 隠れたワイン大国として 近年注目を集め始めています スイスでは20世紀に入ると 新品種の開発 古い品種の保護 自然環境に配慮したワイン造りが進められ 少量ながら高品質のワインを生み出す隠れたワイン産地として 海外でも広く知られるようになっているのです <スイスのワイン造りの現状> スイスの高い標高のぶどう畑で生み出されるワインは 白も赤も繊細な味わいで ほとんどが軽快でフルーティです 長期間保存するワインではなく フルーティさと透明性を保っている 2~3年のうちに楽しみます スイスにおける2014年度のワイン生産量は 全世界の約0.3%で 赤ワインが52% 白ワインが48%の比率ですが 最近は赤ワインの生産が増え逆転しています 実はスイス人は相当のワイン好きで ひとり当たりの年間消費量は約50リットルで 日本人の20倍もあり ワイン大国のフランスやイタリアに 決してひけをとりません 書き手が若い頃にヨーロッパ一人旅をしたとき スイスのスーパーマーケットで たくさんの種類のワインが所狭しと売られていて びっくりしたことを覚えています!(笑) ですから スイスワインは スイス人たちが国内でほとんど飲んでしまい 輸出量は 約2%に過ぎません 山が多いスイスでは ぶどうを栽培できる土地に限りがあります ぶどう畑は急斜面に作られることも多く 栽培や収穫は全て手作業に頼ることになり 大変な重労働となります 一方で ワインの高い品質を保つため 国や地方の管理のもとに ぶどうの生産量が制限されています <ブドウの品種> @シャスラ スイスワインといえば 白ブドウ品種のシャスラが有名で 栽培面積の約60%を占め フランス語圏を中心に栽培されています シャスラの特徴は フルーティな香りと軽やかな酸味 湧き水のように清らかで 柑橘類の淡い風味と じんわりと広がる旨味を備えており 「食通が最後に辿り着くワイン」とも称されています 世界で造られるシャスラの8割をスイスが占めており 軽快な味わいでクセがないのが特徴で それだけに土壌の個性をきれいに映し出します このように シャスラは栽培された土地の影響を大きく受けるため 産地の個性が感じられるのもポイントで 例えばフルーティなタイプが好みならヴァレー州 ミネラル感の強いタイプが好みならヴォー州がおすすめです @ピノ・ノワール ガメイ 黒ブドウで広く栽培されているのは ピノ・ノワールです ドイツ語圏では 個性豊かな赤ワインが フランス語圏では 「ウイユ・ドゥ・ペルドリ」などのロゼワインが造られます ピノ・ノワールに次ぐ栽培面積を誇る黒ブドウが ボジョレー・ヌーボーで有名なガメイです ガメイからは ガマレやガラノワールといった交配品種がスイスで生み出され フランス語圏を中心に徐々に栽培が増えています <産地> ワイン造りが盛んなのは フランス語圏のスイス・ロマンドで ヴァレー州 ヴォー州 ヌーシャテル州(三湖地方)といった 有名なワイン産地が広がっています @ヴァレー州 スイスワインの約50%を生産している スイス最大のワイン産地です ブドウ畑は標高650〜800mの傾斜地に広がっており ヨーロッパでも標高の高い産地です 代表的なブドウ品種は 白ブドウ品種のシャスラで アルプスの空気そのままの清らかさがあり 上品でありながらもミネラル感に溢れ メリハリの効いたワインが生み出されています 標高が高く 晴れていて日差しの強いことが多い地域で 乾燥していて暖かいため ぶどうがよく熟し まろやかでよりフルーティな味わいになります ピノ・ノワールやガメイも有名で ふたつの品種を85%以上使用した「ドール」も 名産品として知られています @ヴォ―州 レマン湖の北側にあり シャスラが⽣産量の60%以上を占めます ここはシャスラの故郷の地で 上品でミネラル分の豊かな味わいが特徴の シャスラが造られます ローザンヌとモントルーの間は ラヴォー地区と呼ばれ 世界文化遺産に登録されています 石垣がテラスのように連なるぶどう畑と 目の前に広がるレマン湖が織りなす絶景は その美しさに息を飲むばかりで ぶどう畑が世界遺産の対象になっているのは このラヴォー地区だけです ラヴォー地区には 「3つの太陽」があると言われています まず本物の太陽 ラヴォー地区は南西向きの斜面のため 特に日照に恵まれています 2番目の太陽は 湖からの反射光 広大なレマン湖の湖面は巨大な鏡となり 太陽の光を下から注ぎます そして3番目の太陽は 石垣の輻射熱 急斜面を支える石垣が日中に蓄えた熱が 夜間の温度の低下を防ぎます ラヴォー地区には 全部で8つの村 8つの銘柄があり 原産地呼称統制(AOC)を定めて品質の保持に努めています なかでも「デザレ」は特に人気の銘柄で 芳醇で深みのある味が特徴です <食事との相性> スイスの代表的なグルメのチーズ・フォンデュには もちろんスイスの白ワインが使われます ちなみに チーズ・フォンデュやラクレットなどのチーズ料理を食べるときは 決してビールや水を飲んではいけません 溶けたチーズが胃の中で固まって大変なことになるそうで 必ず地元の白ワインを注文しなくてはならない不文律があります スイスワインのあっさりとした味わいは 和食との相性も抜群で 最近の日本料理屋さんでは スイスワインとのマリアージュを勧めるお店も増えています
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