IgG4関連疾患
これまでに紹介した IgG4関連硬化性胆管炎 自己免疫性膵炎は 「IgG4関連疾患」 という大きなカテゴリーに属しています IgG4関連疾患は 近年 明らかにされた新しい病気です この病気も 原発性硬化性胆管炎などと同様の 国が指定する指定難病です <どのような病気?> 全身のいろいろな臓器(膵臓 唾液腺 涙腺 腎臓など)が 腫れたり 硬くなったりする原因不明の病気で しばしば悪性腫瘍と間違われることがあります 免疫グロブリンの一種であるIgG4が 血液中で高く 病気を起こした臓器には IgG4分泌細胞 リンパ球の著しい浸潤と 強い線維化が認められます この線維化により 臓器が腫大し硬くなります ひとつの臓器だけでなく 複数の臓器が同時に冒されたり 数か月〜数年後に別の臓器が冒されることもあります 症状は無症状のこともありますが 冒される臓器により異なってきます ステロイドが奏功しますが 放置すると 多くの場合 臓器の機能が損なわれます <疫学> 日本全体で 約1〜2万人の患者さんがいると推定されています 高齢男性に比較的多く認められ 男女比は2~3:1です 自己免疫性膵炎 後腹膜線維症 尿細管間質性腎炎などは 中高年男性に多いのですが 唾液腺や涙腺が冒される場合は 男女差はありません また 疾患の重症度(多臓器病変の存在 血清IgG4高値など)には 男女差を認めません <病変が起こる臓器> 膵臓 胆管に起こる自己免疫性膵炎 涙腺 唾液腺に起こるミクリッツ病 それ以外にも 中枢神経系 甲状腺 肺 肝臓 消化管 腎臓 前立腺 後腹膜 動脈 リンパ節 皮膚 乳腺 など さまざまな臓器で病変が起こります 涙腺 唾液腺が多く55% 肺 33% 後腹膜繊維症 大動脈周囲炎 24% 膵炎 20% 腎疾患 20% といった頻度です 60-90%の症例で 複数の臓器に病変が起こるとされています <原因> 原因は不明ですが 何らかの免疫異常が関わっていると思われます 遺伝する病気ではありません <症状> 病変部に生じた腫大や結節による 圧迫や閉塞症状をきたします 肺では 喘息症状 涙腺・唾液腺では 眼瞼 下顎部 耳下部の腫れで 時にドライアイや口腔乾燥をともないます 胆管 膵臓では 黄疸や糖尿病 腎臓・後腹膜では 腎機能障害 尿管 狭窄 水腎症 これらの臓器特異的な症状以外に 鼻・副鼻腔炎 気管支喘息などのアレルギー症状が 主訴となることも少なくありません こうした症状が 同時に認められることもあり 時を変えて出現してくることもあります 受診するきっかけとしては 涙腺の腫脹による容貌の変化 口渇感や顎下部の腫瘤の触知 全身倦怠感 黄疸 軽度の腹痛 咳嗽 といった症状の自覚 健診などでのエコー検査による臓器腫大の発見 血液検査での異常の指摘 などが多いようです
高橋医院