アミノ酸代謝の特異性
アミノ酸代謝は 全身の諸臓器で行われますが 臓器により 代謝のスピード 代謝されるアミノ酸の種類が異なります <全身臓器でのアミノ酸代謝> @アミノ酸の代謝スピード 血液 肝臓 消化管は速く 半減期は約10日間ですが 骨格筋 骨は遅く 半減期は約80日間です @アミノ酸代謝の臓器特異性 小腸は グルタミン グルタミン酸を多く代謝します 肝臓は 分岐鎖アミノ酸以外のほとんどのアミノ酸を代謝する 中心的臓器です 骨格筋は 分岐鎖アミノ酸を代謝し アラニンを肝臓に供給 グルタミンを腎臓に供給します 腎臓は グルタミンからアンモニアを尿に排泄し グリシンからセリンを合成し 肝臓や末梢血に供給します <分岐鎖アミノ酸 BCAA> 炭素骨格が枝分れしている バリン ロイシン イソロイシンは 分岐鎖アミノ酸と呼ばれる 特徴があるアミノ酸です @必須アミノ酸に占める割合が高い 筋肉の必須アミノ酸の35% 食事の必須アミノ酸の40~50% が分岐鎖アミノ酸です 動物性タンパクや乳製品に多く含まれます @肝臓でなく筋肉で代謝される 肝臓には 分岐鎖アミノ酸のアミノ基転移酵素がないので代謝されず 全身組織に運ばれ 筋肉で代謝されてエネルギーを産生します @ロイシン 筋タンパク質の合成を促進し 分解を抑制する 筋肉づくりに欠かせないアミノ酸で 筋合成を促すシグナル伝達物質のmTOR(エムトール) の活性化を促進します @フィッシャー比 分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸 比 (BACC/AAA)を フィッシャー比と呼びます 芳香族アミノ酸は フェニルアラニン チロシンで 基準値は3.0です 非代償性の重篤な肝硬変では 肝機能低下により芳香族アミノ酸の代謝が低下して 血中濃度が増えるので フィッシャー比は低下します 肝硬変の重篤度を評価する際によく用いられます <栄養状態の指標となるタンパク質> @アルブミン 血清タンパクの60%を占め 肝臓で産生されますが 半減期が2~3週間なので 長期間のタンパク質栄養状態を反映する指標になります @RTP rapid turnover protein 代謝回転が速く 半減期が短いタンパク質で 短期の栄養状態を反映する指標になります 半減期は トランスフェリンは8日 プレアルブミンは3~4日 RBPは12~16時間 です
高橋医院