今日は雛祭りですが
この2枚の雛人形の写真

雛人形の写真1

雛人形の写真2

雄雛が座る位置がオリジナルなのはどちらでしょう?

雌雛の右(見る側からは左)? 
それとも左(見る側からは右)?

回答を披露する前に 
雛人形の歴史についてのウンチクに
お付き合いください(笑)

雛祭りのルーツは
漢の時代の中国にあると言われています

ある家庭で
3人の女の子が立て続けに生まれてすぐに亡くなってしまい
それを不憫に思った村の人が
女の子の遺体を清めて水葬したのが起源とか

平安時代
価値観が漢心(からごごろ)から
大和心(やまとごごろ)に変換した時代

季節の変わり目で邪気が入りやすい3月3日に 
自分の代わりにお祓いをした人形を川に流して
厄払いした行事が盛んになり

それが倭の国における
雛祭り 雛人形のルーツと言われています


前にも書きましたが 
倭国では季節の変わり目には穢れを祓うことが
生活の基本だったのですね

ちなみに 祓いごとが故に
「早く片付けないと行き遅れる」
といった風説が広まったとか、、、


さて 本題の雄雛の座る位置ですが 
平安時代には「左が右に勝る」
と考えられていました

この概念は「左上右下 さじょううげ」と言われ

・左大臣の方が右大臣より位が上

・着物は左襟を右襟より上にして着る

・舞台は左側(観客から見て右側)を「上手」と言う

・ふすまや障子は左を前にしてはめる

・国会議事堂では左側に貴族院の流れを組む参議院の建物がある

などなど
左が右に勝ることを示す例は枚挙にいとまがありません

でも これも実は中国から流れてきた概念です

唐の時代
皇帝は不動の北極星を背にし南を向いて座ることが善し
とされ

南向きに座ると 日の出の東は左 日が沈む西は右  
だから左は右より尊い

ホント?(笑)

いずれにせよ
平安時代は「左上右下」ですから 
雄雛が座る位置は左(見る方からすると右)

今でも京都では 雄雛は左に座るそうです

ちなみに 京都の地図では
左京区は右側:東側 
右京区は左側:西側
なのも 左上右下によるとか

京都の雛人形の写真

ところが
京都以外では
雄雛は右(見る方からすると左)
に座るパターンが多い

これは明治時代の文明開化の影響によるもので

西欧では右を「right」と言うくらいですから 
「右が左に勝る価値観」があります

ですから
西欧がイニシアティブをとる国際儀礼では 
右に男性が立ち 左に女性が立つ

明治に開国して西欧との交流を始めた日本は 
グローバリゼーションの波にあっという間に飲み込まれ

伝統の「左上右下」を捨て
西欧式の「右上位」方式を取り入れたので

政治の中心となった関東では 
お雛様も
右に雄雛(見る方からすると左)が座るようになり
それが全国に広まっていったそうです

なるほどねー 
こんなネタでも
1日分のブログが書けてしまうのですね~(苦笑)

でも そんな視点で
街でディスプレイされている雛人形を見るのも
面白いでしょう?


気をつけて見ていると 
東京でも古美術店などでは右側に雄雛が座っています

それを見て関東の田舎者は
やんごとない歴史ある関西の文化に
コンプレックスを感じるのですよ(苦笑)


ところで どうして西洋では「右上位」なの? 
それはto be continued このネタでもう1日書かせてください(笑)


それより
今日のお話の前提になっている価値観そのものがおかしいわよ!

雄雛が雌雛より高い位置に立つ という発想は
男尊女卑的で時代錯誤なんじゃない?

それに 西欧はレディーファーストなのに 
どうして高い位置に男性が立つのよ?

という鋭い質問は
”似非”フェミニストには しないでね(苦笑)


そんなことより
最近のお雛様は つけま だそうですよ!

つけまをつけたお雛様の写真

いったい どうなっちゃうのかな~、、、(苦笑)

高橋医院