文楽 は一度もナマで見たことがありませんが

TVで見た
文楽の修行中の若者にフォーカスをあてた
ドキュメンタリー番組が 
とても深く印象に残っています

義太夫節 三味線 人形 がくりなす世界 

まさに”あなたが知らない世界”です

あなたが知らない世界の写真

番組を見ていちばん驚いたのが

気配を消す というコンセプトでした

物言わぬ人形に 
如何にして哀れや喜怒哀楽を語らせるか

それが人形遣いの腕の見せ所ですが

未熟な人形遣いがやると
操っている人の動きばかりが目立って
人形が見えてこない

ところが熟練の人形遣いだと
人の気配を全く感じさせず
人形が生きているかのごとく
生き生きと躍動する

修行中の若者と師匠が
同じ人形で同じ場面を演ずるのを見ましたが

確かに 初めてみた者でもはっきりとわかるほど
その醸し出す空間が全く違っていました

なるほど 気配を消す ですか、、、


こうした熟練の域に達するには

人形に性根を入れる

ことが大切だそうです

物語の内容 登場人物の気持ちを
充分に理解したうえで
それを自らの技で表現する

命あるものの気配を消して 
命ないものに性根を入れる

そんなこと 
今まで一度も考えたこともなかったので
ちょっとびっくりです

でも

どうしてそこまでして
わざわざ命のない人形に
語らせなければいけないのか?

 

人形が語っている様子

この世界は何気に哲学的で 
のめり込んでしまいそうな
ちょっと危険な香りもします(笑)


文楽の世界では
師匠は弟子に言葉で事細かに伝授したり
しないそうです

単純に 「悪い」 とか 「邪魔」 とか言うだけ

それを聞いて自分なりに理解して修正できないと
この世界では生きていけないそうで、、、


人形は
主遣い(リーダー:頭と右手担当)
左遣い(2番手:左手担当) 
足遣い(下っ端:足担当)
の3人で操りますが

主遣い 左遣い 足遣いの写真

足遣いは自らの右手を 
主遣いの左腰にあてていて
(主遣いは高下駄をはいているので
 頭遣いの腰の高さと足遣いの手の高さが
 同じになります)

主遣いが腰を微妙に動かして伝える合図を
瞬時に察知して
自分の動きを修正しないといけないそうで

それが出来ないと 
なかなか上には進めないとか

自分の動きを修正している様子


足遣い10年 左遣い10年 
で ようやく主遣いになれる修行の世界です

そんな文楽の世界に身を置く20代の若者は
わずか10名ほど

多くの若者は
修行を始めて1年ともたずに辞めていくのが
現実とか

そういえば 
客が入らないなら補助金をカットするぞ
などと無粋なことを言われたど
こぞの行政の長がおられましたね(笑)

うーん 
伝統文化の保護育成に貢献するためにも
これはやはり
一度 ナマ文楽を見に行かないといけませんね

問題は 人形が嫌いなお方が
身近におられるんだよなぁ(苦笑)

 

高橋医院