中央区・内科・高橋医院の  
食事と健康に関する情報 


スローフード運動 

一時期大流行しましたね

イタリアはピエモンテで始まり広がった
食のグロバリゼーションに対抗する社会的運動

グローバリゼーション嫌いの書き手は
シンパシーを感じていましたが

最近注目されているのは 
スローフードでなくスローカロリー


<スローカロリーとGI> 

聞かれたことはありますか?

食物を食べると胃や小腸で消化吸収されますが
その過程で糖質の吸収速度がゆっくりなこと

スローカロリーと言います


スローカロリーの解説図

スローカロリーの概念は
グリセミック・インデックス(GI : Glycemic Index)
に基づいています

GIは
食品中の炭水化物の血糖値を上昇させる潜在能力を
数値化した指標で

この数値が高いほど
炭水化物が消化吸収されて血中に入り
血糖値を上げるスピードが速い

具体的には
ブドウ糖のGIを100として
個々の食品のGI値を比較して算出します

GIが高い食材
十二指腸から小腸上部で素早く消化吸収され
血糖値が急速に上昇する

GIが低い食品
小腸下部まで到達し小腸全体でゆっくり消化吸収され
血糖値も緩やかに上昇する


なぜそんなことが重要かというと

食後の血糖値上昇の度合いが
急峻かゆっくりかによって
血糖に反応するインスリンの分泌パターンが
異なるからです

高GI食を食べて食後血糖値上昇が急峻だと
インスリンの急激かつ過剰な分泌を余儀なくされ

このように
食後血糖値とインスリン分泌の変動が大きいと
肥満や糖尿病になりやすくなる


一方 低GI食だと
インスリンはゆっくりと適量が分泌される
食後の血糖値とインスリンの変動が小さいので
内臓脂肪がつきにくく 満腹感も持続する

さらに低GI食が優れているのは
小腸末端まで糖質が流れて
そこで消化管ホルモンのインクレチンが
分泌されるようになる

インクレチンは
非常に注目されているホルモンですが
インスリンの分泌を促進して
糖尿病になるのを防ぐ働きがあります


ですから 低GI食は高GI食と比較して

*体重コントロールができる

*空腹感を減らして満腹感を持続させられる

*コレステロールの上昇を防ぎ
 心筋梗塞などの危険性を減らす

*インスリン抵抗性を低くするので
 糖尿病のコントロールが良くなる

といった利点があるのです

低GI食の利点

こうした現象から

*GI値が低いことは良いことで 

*GI値が低い食物を食べるのが体に良い

とする スローカロリー運動が興っているわけです

実際に糖尿病の患者さんに
GI値が低い食品を食べてもらうと
血糖や脂質の値は改善し
無駄な食欲が減り体重が減少するそうです

GI値が低い食品を食べる効用


<GI値が高い食品 低い食品>

では 具体的に
GI値の高い食品 低い食品を
見てみましょう

GI値は
食物繊維の含有量に大きく影響されます

食物繊維が血糖の吸収を遅らせるからです

ですから
主食となるご飯やパンは
精製されたものより
玄米や全粒ライ麦パンなどの精製度が低いもの

オート麦 大麦 ふすまなどの穀物

麺類では
うどんやラーメンより そばや春雨

野菜では
じゃがいもやにんじんより
大根 茄子 白菜 もやしなど

はGI値が低い食品です

チョコレート せんべい ドーナツ
などのお菓子類は
軒並みGI値が高いので要注意です


様々な食品のGI値


<食べる順番>

食後の血糖値は
食べる順番 食べる方法にも影響されます

食べる順番で気をつけたいのは

*サラダなどの食物繊維の多い野菜料理を
 最初に食べる

*次にタンパク質中心のメインのおかずを食べる

*最後に
 ご飯 パン 麺類などの
 糖質が主となる主食を食べる

洋食で最初に出てきたパンを
おかずの前にパクパク食べるのはNGです(笑)

食物繊維の多い野菜料理を先に食べることで
糖質の吸収を緩やかにして
血糖値を上げにくくすることが大切です

こうした効果を
「セカンドミール効果」

最初に摂った食べ物が
次に摂る食べ物の糖質の吸収に影響を及ぼす効果
と言い 

最近はとても重要視されています

セカンドミール効果

<早食いを避けて>

食べ方にも気をつける必要があります

食べ始めてから
脳にある満腹中枢が働いて
お腹いっぱいと感じるまでには約20分かかります

その間はいくら食べても満腹感は感じないわけで
食べれば食べるだけカロリーは入っていきます
ですから血糖値もどんどん上がる

そうしたことを防ぐためにも
早食いせずによく噛んでゆっくりと食べる

ゆっくり食べることで
上述した消化管ホルモンの
インクレチンの分泌も高まります


このように
GI値の高い食品を最初に充分に食べることにより
食後の急激な血糖上昇を防ぎましょう

というのが
スローカロリー運動が訴えることですが

1点だけ注意しなければならないことがあります

それは 
たとえGI値が低くても
たくさん食べれば
摂取カロリーは増えるということ

あ 賢明な皆さんには釈迦に説法でしたね(笑)


でも 
どうしてそんなにGI値に
こだわらないといけないの?

食後に急に血糖値が上がることは
そんなにいけないことなの?

そうした疑問を持たれる方も多いことでしょう

その疑問に対するお答えは 次回のお楽しみ!
高橋医院