第五の味覚・うま味
外国でも通じる日本語の単語は たくさんありますが 代表的なところでは TSUNAMI KARAOKE NINTENDO BONSAI MANGA KAROUSHI SHOGUN MIKADO SAMURAI HARAKIRI BENTO TERIYAKI SUSHI 今日の主役は UMAMI・うま味 これも外国で通じる日本語です <うま味発見の歴史> 1908年に池田菊苗博士が 昆布の煮出し汁からグルタミン酸を 1913年にはお弟子さんの小玉博士が 鰹節からイノシン酸を さらに1957年には国中明さんが シイタケ中からグアニル酸を それぞれ抽出されて これらは全てうま味成分として確認されました そして1985年の第一回うま味国際シンポジウムで うま味(UMAMI)という言葉が 国際公用語として使用されることになりました さらに2002年に グルタミン酸に反応する受容体(mGluR4)が 舌の表面などで発見され うま味は甘みや苦みなどと並ぶ 普遍的な第5の味覚として認知されるに至り 現在は世界の料理界で 非常に大きな注目を浴びています <うま味の成分> うま味の成分は *タンパク質が分解されてできたアミノ酸の グルタミン酸 アスパラギン酸 これらは昆布 パルメザンチーズ 白菜 トマト いわし 緑茶 に多く含まれます *ATPが分解されてできた イノシン酸 グアニル酸 イノシン酸はかつお節 煮干し 豚肉 鯛 鯖に グアニル酸はきのこ類 干しシイタケに多い *貝類に多く含まれるコハク酸も うま味成分のひとつです <うま味の相乗効果> うま味成分は タンパク由来のものと ATP由来のものを 組み合わせると飛躍的に強くなり 日本料理の出汁のうま味は グルタミン酸を多く含む昆布で出汁をとったあとに イノシン酸が多いかつお節で出汁をとり 組み合わせることで最強になります <熟成肉のうま味> 熟成肉が大ブームになっているのも うま味のおかげです 時間経過によってタンパク質が分解され グルタミン酸が増えますし 筋肉中にエネルギー源として蓄えられていた ATPが分解されて イノシン酸が増えます チーズや生ハムも 熟成期間中にタンパク質が分解され グルタミン酸が増えて美味しくなる <世界のうま味> うま味は 日本以外の国の料理でも重要視されています 古代ローマでは 「ガルム」と呼ばれる うま味成分豊富な魚醤が作られていました 魚醤と言えばアジアですね! タイのナンプラや ベトナムのニョクマム またアジアでは 豆・穀類・魚介類を原料にした発酵食品 しいたけ・昆布・魚介類の乾物などの うま味が主流です 日本のうま味もアジアのうま味も 白いごはんとの相性がバッチリ! アジアのうま味は 米食文化を支える重要な立役者の ひとつなのでしょう 最近 ヨーロッパではうま味が注目されていて それ故に和食が注目されているのはもちろんですが ドライトマト いぶした鹿肉 などの うま味を使った オリジナル料理も好評を博しているそうです <うま味の作用> うま味には 情報を伝えるシグナルとしての 働きもあります ヒトがうま味を感知すると その情報が脳に伝わり タンパク質消化の準備が始まります 唾液 胃液 膵液などが分泌されるのです 書き手に至っては ナンプラやニョクマムと聞いただけで 唾液が分泌し始めます(苦笑) また うま味には 満腹感を引き出し食欲を抑える効果も あるそうで うま味の入ったスープを 最初に飲むことなどが 食べ過ぎや肥満防止に役立つかもしれません でも うま味の感度が鈍い人 (低濃度のグルタミン酸を認識できない人)は 鋭い人に比べて 有意に肥満傾向が強く 甘味の嗜好が高い というレポートもあるので 既に肥満な人の食欲抑制には 効果がないかもしれません もしかしたら うま味受容体に 何らかの異常がある人が 肥満になりやすい? ちなみに 赤ん坊もうま味を認知して 味わっているそうです お母さんの母乳には グルタミン酸がとても多く含まれているので 母乳がヒトの初めての うま味体験になるとか ということで 今や世界に冠たるUMAMIですが どうして突然この話題になったかというと それは明日のお楽しみ!(笑)
高橋医院