オタクネタで恐縮ですが 
前回に続いてEUの疑問について語ります

つい先日のギリシア危機回避のための
ギリギリのマラソン協議で

最後になってドイツが
ギリシア切り捨てをちらつかせたことは
今後のヨーロッパの有り様を
変えてしまうかもしれない重大な出来事だった
という論旨をあちこちで目にします

ドイツは本当に 
ギリシアがEUから離脱しても良いと
考えたのでしょうか?

ここで再び 
書き手がいつも感じている短絡的な疑問

EUを支えているのは 
経済的合理性なのか 政治的理念なのか?

が頭をもたげます


水野和夫さんが書かれた
「資本主義の終焉と歴史の危機」

資本主義の終焉と歴史の危機

書き手は歴史好きなものの 
それほど経済には詳しくありませんが
この本を読んで
今まで考えたことがなかったような 
新たな概念を学ぶことができました

何回か読み返している数少ない本のひとつですが

この本の「西欧の終焉」という章で 
水野さんはこんなことを書かれています

ユーロは 
経済同盟というより政治同盟であり
最終的には
ドイツ第4帝国の性格を強めていくであろう

ドイツとEUの国旗

だからこそ 
ドイツはギリシアを見捨てることはない

この本が書かれたのは 
今回ではなく前回のギリシア危機のあとですが
水野さんがさらに展開される論はとても面白い


ヨーロッパをひとつにというEUの動きは

英米が主導する経済的グローバリゼーションにより
人々や国家さえもが 
資本の使用人のような役割をさせられている

そんな状況に対抗する「経済的対抗策」として
生まれてきたように見えるが

その根底には ヨーロッパ文明の根幹を成す
「蒐集・コレクション」という概念があり
まさに蒐集がなせる業である

というのです

なんだよ 蒐集って? と思われるでしょうが

ヨーロッパの歴史は まさに蒐集の歴史

絵画のコレクション

いちばん古い蒐集行為は ノアの箱舟

中世キリスト教は 人の魂を蒐集し

近代資本主義は 
モノ・マネー・資本を蒐集してきた

その延長線上に立って
政治的理念により 
ヨーロッパの領土を蒐集しようとするのが
EUのムーブメントに他ならない  と

だからこそ ドイツはギリシアを見捨てない
見捨てることは自己否定になるのだから

なるほど 
経済統合は あくまで手段であって目的ではない 
ということですね

書き手の疑問に対する答えが 
見えてきたように思います

そんな背景があるからこそ
今回の一連の協議で
ドイツがギリシアを切ろうとした姿勢が
今後のヨーロッパの有り様を
変えてしまうかもしれない重大な出来事
と見做されるわけでしょうか?

では どうしてドイツは 
ギリシアを切っても良いと考えたのでしょう?

理念より経済 ということ? 
(またも短絡的すぎますか?:苦笑)




最後にちょっと脱線します(笑)

水野さんが書のなかで引用されていた

「社会秩序そのものが本質的に蒐集的である」

という一文は とても示唆的だと思いました

だからこそ 資本主義も 民主主義も 
うまく共存できてきたのだと

なるほど~ と 書き手は妙に納得しましたよ(笑)

じゃあ 
終焉を迎えるという資本主義のあとにくるものは何なの?

いつか牛さん豚さんも 
そんな掛け合いをしていましたが
興味がお有りの方は 
是非 水野さんのご本をお読みください!


で やっぱり コレクターってアブナイのでしょうか?

書き手は 珍しいお酒の瓶とか 外国のTシャツとか
様々な分野の本とか(積読本も含む)
結構コレクターなのですが(苦笑)

ビールのコレクター

ここまではいきませんけれど(笑)


高橋医院