単純疱疹の再発と治療
単純疱疹でいちばん厄介なのは再発で 日常生活で発症する単純疱疹のほとんどは 再発と考えられています <なぜ再発するか?> 単純ヘルペスウイルスは 初感染後に 知覚神経節の神経細胞の核のなかに潜伏しますが 発熱 紫外線を浴びる 病気の治療中 などの状況では 体内に潜んでいるウイルスを監視している 細胞性免疫が低下するため 潜伏していたウイルスが増殖して再発が起こります 水ぼうそうを起こしたVZウイルスが 帯状疱疹を起こすのと 全く同じメカニズムです <再発しやすいとき> *スキーや海水浴などで 強い紫外線をたくさん浴びた2~3日後 *精神的ストレスや過労がひどいとき *病気で 抗がん剤 副腎皮質ホルモン剤 免疫抑制剤など薬剤を 服用しているとき *月経前(排卵後) 女性ホルモンの働きが関係するため などのときは 再発しやすいので要注意です <再発の頻度> HSV-1の再発は 年に平均2回 HSV-2は年に 平均9回再発し しかも男性の方が多いとされています <再発時の症状> 赤くはれて水ぶくれができ始める3~4時間前に くちびるや鼻の周りに ピリピリ チクチクムズムズなどの きざしを認めるので 再発が自分でわかる場合が多いようです その後 半日以内に赤く腫れ 1~3日後に 赤く腫れた上に水ぶくれができ 発熱など全身症状が出ることもあります 前にも書いたように この時期は局所にウイルスが多くいますから 他の方が 水ぶくれや破れた部位を触らないように 注意する必要があります やがて1週間前後でかさぶたになり 数日で自然に治ります <治療> 単純疱疹の治療は 初発・再発を問わず 抗ウイルス薬 (アシクロビル 塩酸バラシクロビル)の内服が基本です この薬は ウイルスが潜んでいる神経細胞内でのウイルス増殖を抑えます 大切なのが 治療開始のタイミングで 予兆が出た段階で薬を服用すると 回復が早いだけでなく 神経細胞に潜むウイルス量が減るので 再発しにくくなります 適切な治療を開始するタイミングが早ければ早いほど 症状は軽く回復も早いので 局所にピリピリ チクチクムズムズを感じ ヘルペスが疑われる場合は その段階ですぐに受診することが大切です 軽症の場合は 抗ヘルペス薬の塗り薬を用いることもあります また 細菌の二次感染を伴うことがあるので 抗生物質の全身投与または外用を行うこともあります <予防と対処> 前にも書きましたように 単純疱疹の感染機会で 最も多いのが家族間での接触感染です そして水ぶくれができているときは ウイルス量が非常に多く 感染力が強い時期ですから 症状がなくなるまでは 他の人への感染に注意を払うことが重要です 感染を予防するには 次のことに心がけてください *患部は極力触らない 水ぶくれを破らないよう気をつける *患部を触った場合 すぐに手を洗う *感染時に使ったタオルは ほかの人と共有しない タオルはよく洗い 日光でしっかり乾かす *感染時に使ったグラスなどの食器は ほかの人と共有しない 食器は洗剤できれいに洗う *性器ヘルペスの場合は 患部や唾液にウイルスが含まれるので 発症時はキスやオーラルセックスは避ける また 新生児は免疫力が弱いため 単純ヘルペスウイルスに感染すると全身に広がり 重篤な症状が出る恐れがあります キス ほおずり 病巣の水ぶくれに触った手で すぐに赤ちゃんを触るだけで 感染してしまうこともありますから キスやほおずりは避け 新生児に触れる前には 手をよく洗うようにしましょう 具体的な対処方法としては *患部を清潔にする 症状の悪化を防ぐためは まず患部の清潔を心がけてください *水ぶくれの対処 水でそっと洗い タオルで水気を拭きとります 湿った状態だと 症状が悪化しますし 二次性の細菌感染が起きやすくなりますから よく乾燥させます 破れると細菌感染しやすくなるので こすらないように気をつけます *よく休む 症状が出ているときは十分な休養をとり ストレスや疲れをためないよう努めましょう *強い紫外線を避け 炎症を悪化させるアルコール類は控える *早目に治療を開始する 皮膚の違和感やかゆみなどの 再発の前兆が現れたら 早めに受診してください 以上のことに気をつけて 単純疱疹にかからないよう また再発しないようにご注意ください
高橋医院