骨格筋の量を維持すること

加齢にともなうサルコペニア発症の予防だけでなく

サルコペニア肥満を防ぎ 
基礎代謝量を高めることにより

糖尿病などの生活習慣病予防にも重要なことを
説明してきましたが

では 骨格筋を減らさないためには
具体的にどうすればよいのでしょう?

その鍵は 下半身の筋肉にあるようです

下半身には

*大腿四頭筋(太腿の前の部分)
*大殿筋(お尻)
*下腿三頭筋(ふくらはぎ)
*ハムストリングス(太腿の後ろの部分)

といった大きな筋肉が集まっていますが

こうした下半身の筋肉は
体幹や上半身の筋肉よりも衰えやすいそうです

下半身の筋肉量の加齢による減少を示すグラフ

ですから
加齢や肥満により減少していくのは
まず下半身の筋肉だそうで

逆にそこを鍛えれば
筋肉の量を減らさずにすみ
サルコペニア肥満や本物のサルコペニアにならずにすむ

筋肉量の減少や衰えは
40代後半から顕著に進みますから

日常のスポーツ習慣のない方は
40代から気をつけた方がよいとのこと


ということで
「40代からは下半身の筋トレを!」
が斯界の常識だとか

筋トレというと
腹筋や腕立て伏せをイメージしがちですが

なるほど
大切なのは下半身の筋力強化なのですね!


具体的な下半身の筋肉を鍛える方法としては

*スクワット

*フロントランジ

*踵上げ

などがあります


@スクワット

有名なので 読み手の皆さんもご存知かと思いますが

肩幅より少し広めに両足を広げて立ち
イスに腰掛けるイメージで
お尻を後ろにつきだしながら下げ

お尻がイスに着く直前の姿勢で
数秒間できるだけ我慢して
つらくなったらゆっくりと立つ

スクワットのやり方の図示

膝がつま先より前に出ないように
背中を真っすぐにして
お尻を後ろにつき出すようにして行うのが
ポイントです


@フロントランジ

片足を 肩幅くらいの距離に前方に踏み出して

背筋を伸ばしたまま
腰をゆっくりと深く下げて

前方に踏み出した足を
ゆっくりと膝が直角になるまで曲げ

その姿勢のままで数秒間我慢して

次に後方の足を前に踏み出して
同じ動作を繰り返す

フロントランジのやり方の図示

一歩一歩 腰を落としながら
前に踏み出し歩き続けるイメージで

足を踏み出すときに
膝がつま先より前に出ないようにするのが
ポイントです

@踵上げ

脚をそろえて立って
つま先立ちで両足の踵を上げ

そのままの状態でしばらく我慢してから
踵を下げる

この動作を繰り返す

踵上げのやり方の図示


理想としては

*スクワットを朝夕20回ずつ 
*フロントランジを1日に40歩 
*踵上げを朝夕20回ずつ

毎日行うのが理想ですが

最低週に2~3回
最初は少ない回数から始めて
回数をこなせるようになったら徐々に回数を増やしていく

毎日継続してできるように
日々の生活のなかの空いた時間を上手く利用して行う
のがコツのようです

ちょっとした仕事の合間や
駅のホームで電車を待つ間に
踵上げをしたり

朝起きたあと お昼休みに
スクワットやフロントランジを行う とか

プロのお話によると
楽なトレーニングでは筋肉量は増えないので

*スクワットでは
 お尻がイスにつく直前の姿勢

*フロントランジでは
 前足を直角に曲げた姿勢

*踵上げでは
 踵を上げてつま先立ちしている姿勢

それぞれの姿勢を できるだけ我慢して維持して
つらくなったら戻す

動作をゆっくりと行い
できるだけ筋肉に負荷がかかるようにする

そして筋トレした後に30分以内
ミルク ヨーグルト ゆで卵などの
タンパク質を含む食物を摂るのが良いそうです

というのも
筋トレしたあとの約30分間は
成長ホルモンが出ているので
摂取したタンパク質により筋肉ができやすいためです


ということで 書き手も
診療のあいまにスクワットやフロントランジ
電車を待っているときに踵上げを
行うように心掛けていますが

普段運動していない人が急に頑張ると
膝や腰が痛くなったりします

ですから 腰や膝の調子と相談しながら
それぞれのトレーニングの組合せと回数を決めて

腰や膝の調子が悪いときには
無理をせずにお休みする

継続こそが重要なので
自分に合ったペースを見つけることが大切だと思います


さらに理想を言えば

これらの無酸素運動に加えて
1日に20~30分程度早歩きの有酸素運動行うと
(患者さんには 前を歩いている人を追い越すスピードで
 と説明しています)
なお一層効果的です

無酸素運動で 
筋肉の量を増やして 基礎代謝を上げて

有酸素運動脂肪を燃やす

有酸素運動と無酸素運動のバランス

両方合わせてできれば いちばんです

ただ 日頃 患者さんたちには
偉そうにこうしたことをお話ししていますが

忙しい日々の生活のなかで
全てを理想的に行うのは なかなか困難と思います

ですから できることを できる機会に 
継続して行っていく

繰り返しになりますが 
継続して行うことが いちばんのポイントです

いちどだけ頑張って必死になってやって
そのときは満足しても
それが続かなければ意味がありません

ご自分の生活パターンにあった
継続可能な筋トレ方法を
試行錯誤しながら見つけて
継続なさってください

頑張りましょう!
高橋医院