生活習慣病は 
その名の通り
食事・運動・喫煙・飲酒・睡眠といった
生活習慣の乱れにより
発症進展する病気の総称で

糖尿病 
*高血圧症 
*脂質異常症 
*肥満 
*高尿酸血症

などが代表的な病気です

生活習慣病の種類を示した図

<NAFLDは生活習慣病の肝臓バージョン>

NAFLDもこれらの病気の仲間で 
生活習慣病の肝臓バージョンです

生活習慣病は 
不良グループのようなもので
厄介なのは 
グループ内で仲間同士でつるんで悪さをすること

それぞれの病気が 
互いに関連しあって発症進展していくのです


<他の生活習慣病からNAFLDへ>
NAFLDになりやすい危険因子

第1位は 肥満

第2位以下には 脂質異常症 空腹時高血糖

生活習慣病の代表メンバーが並んでいます

肝機能低下と生活習慣病の関連を示す図


<NAFLDから他の生活習慣病へ>

逆に NAFLDは
高血圧 脂質異常症 糖尿病などになりやすくなる
独立した危険因子です

つまりNAFLDだと 
年齢や体重に関係なく
それらの病気になりやすい

実際に 
肝機能異常でALT値が増加すると
生活習慣病 メタボリックシンドロームになりやすいことが
データとして示されています

ALTが上昇するとメタボリック症候群の有病率が増えることを示したグラフ

NAFLDにおける 
他の生活習慣病の合併率
*メタボリックシンドロームが40%
*高血圧が30% 
*脂質異常症が50% 
*糖尿病が30%

NASHでは
*メタボリックシンドロームが50%
*高血圧が60% 
*脂質異常症が60% 
*糖尿病が30%
とさらに高率になります


@脂質異常症との関連

NAFLDは
脂質異常症ともしっかりつるみます

脂質異常症患者さんの
26~58%はNAFLDで

脂質異常症になると
NAFLDの発症リスクが23倍も増加します

脂質の増加がNAFLDの病態の基本ですから
あたりまえといえば あたりまえです

@高血圧との関連

高血圧もNAFLDになる独立危険因子です

NAFLDと糖尿病の関わりは
話が長くなるので次回詳しく説明します

ということで

ほらね NAFLDは不良グループの一員として
糖尿病などの生活習慣病の他のメンバーたちと 
しっかりとつるんでいるでしょう?(笑)

彼等が皆でつるんで何をしているかというと

動脈硬化を進展させて 
心筋梗塞 脳梗塞といった心血管疾患を
発症させることです

NAFLDが 心筋梗塞や脳梗塞につながるなんて 
イメージできますか?

脂肪肝から他の生活習慣病発症へのメカニズムを解説する図

書き手が肝臓専門医の試験を受けた頃は
そんなアイデアはなかったし
そんな問題も出題されませんでした(笑)

<NAFLDと心血管疾患との関連>

NAFLDになると 
心血管疾患の発症率を2倍も高めます

しかも NAFLDの方の多くは 
脂質異常症もありますから
余計に動脈硬化が進んでしまう

また NAFLDになると 
血管の拡張能といった機能が低下していて

NAFLDが改善すると 
血管機能も改善すると報告されています

NASHまで行くと
発症率だけでなく 
心血管疾患による死亡率も高くなります

NASHが原因の肝硬変の患者さんは
ウイルス肝炎が原因で肝硬変になられた患者さんと比べて
心筋梗塞や脳梗塞で亡くなる確率が高くなっています

NAFLDの方々は 
生活習慣の改善をせずに放っておくと
糖尿病などの他の生活習慣病になりやすいだけでなく
将来 心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすいのです

<NAFLDの他の病気との関連>

NAFLDは 生活習慣病以外にも

*慢性腎障害(CKD) 

*骨粗鬆症 

*肝臓がん以外のがんの発症

にも影響を及ぼすと報告されています

どうですか?

NAFLDの思いもよらない怖さを 
認識していただけたでしょうか?

次回は 生活習慣病・不良グループのなかでも
最高に腐れ縁が強力な
NAFLDと糖尿病の関連について説明します
高橋医院