理想郷・シャングリラ
以前 どこかで このポスターを目にしたことがあり 一体何のポスターなのかな? と なんとなく気になっていました で 企画展を見に行ったBUNKAMURAで 再度 このポスターに出会い やっとわかりました ヤン・リーピン の シャングリラ はい 確かに名前を聞いたことがあります でも 具体的に何をやっている人なのか わからないので チラシをとって見てみたら 中国の民族舞踊の踊り手なのですね この満月の月光を背景に 鳥のような姿に身体をくねらせているポーズは とても気になります それから チラシの裏の群舞の写真を見ると コスチュームがとても色鮮やかで美しい! しかも このシャングリラという演目を 彼女が演じるのはこれが最後ということなので これは観ておかねばと思い チケットを購入しました 初めてのヤン・リーピンの公演 例によって 開演前のロビーの客層チェックですが 意外なことに おばさんグループが多い! もっと男性や若い人が多いのかと 予想していたので びっくりでした どうしてなのかな? 謎です(笑) プログラムを購入して 舞台が始まる前に予習しましたが 中国の雲南省周辺の地域に在住している さまざまな少数民族の 伝統的な民族舞踊をアレンジした 構成のようです そして シャングリラとは 雲南省の理想郷のイメージとか 雲南省 全くイメージがなかったのですが 中国南西部の端っこで タイ ベトナム ラオス ミャンマーなどの国々や チベット自治区と接する地域なのですね ヤンさんご自身も この地方の大理という自治州に住む ペー族という少数民族のご出身だそうです こういうところは 辺縁部なので さまざまな文化や伝統を持つ 多くの民族の交わりがあって まるでカオスのような雰囲気があって 面白そうです なんとなく 期待が持てます 舞台は プロローグの混沌初期から始まり 太陽 大地 家園 巡礼 と進み エピローグの孔雀の精霊で終わります 火 太陽 月光 収穫 雨乞い 神聖な動物である虎 といった 農耕民族の生活にまつわる いかにもプリミティブな事柄が 踊りのテーマとしてとりあげられ 音楽は 太鼓やシンバルといった シンプルな打楽器のみで それにコーラスが絡みます このコーラスがとても印象的で 女性のみで しかも 音色はかん高くて不協和音 昔 ブルガリアンボイスという ブルガリアの女性コーラスが流行しましたが それにとてもよく似た響きです うーん これは 耳に残ります(笑) ブルガリアンボイスも ブルガリアの伝承民謡でしたが 古くからある民族音楽には 東西の文化の垣根を越えた共通性が あるのでしょうか? また 衣装が 原色を多用したとてもカラフルなもので その鮮やかさにはびっくりしました それに 男性は身につけているのは腰巻だけで 上半身は裸で踊ることが多いのですが とてもカラフルなボディペインティングが 施されていて そこには鮮やかさというより 力強さを感じました さらに 全体的に躍動感に満ち溢れていて とても元気が良い まあ 農村の収穫を祝う踊りだったりするので 力強くてエネルギッシュなのはむべなるかな とも思いますが ちょっと元気が良すぎて もう少ししっとりした雰囲気もほしいなあ と 感じ始めたところに ヤン・リーピンさんの 月光のソロダンスが始まります はい よくできたプログラム構成です(笑) ヤンさんのダンスの感想は 後篇に詳しく書くことにして それ以外で印象に残ったことは 女人国というタイトルの 女性賛歌の内容の踊りがあって 男のそばに女性がいなければ 男はすぐに病に倒れる 太陽も月も休むことがあるけれど 女性は決して休まない といった内容の詩が朗読されて プリミティブな農耕文化では やはり女性が崇め奉られるものなのだなと 妙に納得しました 但し 実はこのダンス 女性の力強さ たくましさを表現するために メインダンサーは女性でしたが それ以外は男性が踊っていたとのこと お恥ずかしいことに 書き手は 観ているときは そのことに気がつきませんでした(苦笑) エピローグ直前の 聖地巡礼をテーマにした踊りも 印象的でした ご察しのとおり これはチベット仏教を信仰する少数民族の踊りで 敬虔な信者が聖地巡礼の際に行う五体投地が 舞台の上で行われ 読経の際に使われる お経が書かれた回転する円筒形の道具の 巨大なオブジェが舞台に現れたりして おー チベット仏教の世界だ~ と 感心して観ていました つづく
高橋医院