生体を構成する
核酸・タンパク質・脂質などを傷害してしまう

厄介な活性酸素フリーラジカルですが

ヒトの体内では これらが常に産生されています

たとえば 体内に摂取した酸素の2~5%程度が
活性酸素に変化すると考えられています

では どんな状況で
活性酸素・フリーラジカルは
作られているのでしょう?

@いちばん多くが産生されるのが 
 ミトコンドリアの電子伝達系です



既に説明しましたように 
通常の電子伝達系では 最終過程の複合体Ⅳで
電子伝達系を流れてきた4個の電子と水素イオンが
酸素と結合して2分子の水が出来て 
反応が完結します

しかし 
なんらかの理由で電子の流れに滞りが生ずると
電子伝達系の複合体Ⅰ・Ⅲで
酸素が漏れ出てきた電子1個だけと結合して
スーパーオキシドができ

さらに過酸化水素からヒドロキシルラジカルへと
連鎖反応が進みます

@活性酸素・フリーラジカルの産生は
 細胞質での酵素反応によっても起こります

たとえば
キサンチンオキシダーゼという酵素が
核酸が分解して生じたヒポキサンチンを
尿酸に変換させる反応を起こす過程

また
好中球という白血球に存在する
ミエロペルオキシダーゼ 
NADPHオキシダーゼという酵素が
細菌を殺す反応を起こす過程

さらに
小胞体という細胞内小器官で
NADPH依存性チトクロームP450還元酵素で
薬物の代謝(酸化)が起きるときも
NADPHから放出された電子が酸素に渡され 
スーパーオキシドが産生されます

このように生体内で生理的反応が生ずる際に
活性酸素・フリーラジカルは 
不可避的に産生されてしまい

心臓 肝臓などの代謝が活発な臓器では 
その産生が多いのです


一方 精神的なストレスが大きい状態でも
活性酸素・フリーラジカルが産生されますし

紫外線 放射線 大気汚染 タバコ 薬剤 金属
などによっても
活性酸素・フリーラジカルが産生されます 

過度な運動によっても増加するので要注意です



このように体内では
さまざまな状況下で容易に
活性酸素・フリーラジカルが産生され得るわけで

ミトコンドリアの解説をしたときにも言及しましたが

生体にとって不可欠な エネルギーの産生過程で
有害な活性酸素やフリーラジカルが
産生されてしまうことは
ヒトが生まれ持った不条理のような面があります


 

高橋医院