酸化ストレスは体をどう傷つけるか?
活性酸素やフリーラジカルは 遺伝子やタンパク質などを傷害することで 身体に害を及ぼしますが では 具体的に どのように悪さをするのでしょう? <遺伝子が傷害される場合> @核酸を構成する塩基が 酸化的に損傷を受ける @DNAの1本鎖または2本鎖が切断される といった現象が起こります 塩基が損傷したり DNAそのものが切断されたりすると 遺伝情報が正しく伝わらなくなりますから 細胞死や発がんのリスクが高まり ひどい場合は突然変異が起こったりします <タンパク質が傷害される 変性する場合> @アミノ酸の側鎖構造の酸化的修飾による タンパク質機能の劣化 @ペプチド結合の切断による タンパク質の分解 といった現象が起こります こうした現象により タンパク質が変性したり機能を失ったりします @カルボニル化タンパク ヒドロキシラジカルなどの活性酸素が アルギニン リシン プロリンなどのタンパク質の アミノ基に直接作用し カルボニル化タンパクという 正常ではないタンパク質に変えてしまいます 神経変性疾患 糖尿病 高コレステロール血症 などの疾患では このカルボニル化タンパクが増えていることが 明らかにされています @終末糖化産物・AGEs 酸化によるタンパク質の変性には 糖や脂質もかかわっています 糖やその酸化産物は タンパク質のリシンなどのアミノ基と反応して ジカルボニル化合物を経て 最終的に不溶性のAGEになります こうしたタンパク質の糖化反応を メイラード反応と呼びますが AGEは組織に蓄積して 動脈硬化の増悪 老化などに関与します また AGEは炎症や活性酸素の産生を促し 糖化反応と酸化反応は 密接に結びつき悪循環を形成し タンパク質の機能を劣化させます @脂質が酸化により変性して タンパク質の機能を劣化させる 一方 脂質が酸化されてできる アルデヒドなどの脂質過酸化反応生成物が リシン システイン ヒスチジンなどの アミノ基と反応して タンパク質の機能を劣化させます この脂質過酸化反応については 次回 詳しく説明します
高橋医院