古今東西 
この世で欲しいものがないほど 
功成り名を遂げた人たちが
それでもなお欲するもの

それは 不老不死 と言われています


不老不死を望む昔の中国の皇帝

生きる人の宿命とも言える老化を 
何とかして食い止めたい

でも 功成り名を遂げていない人の間でも
最近は アンチエイジング という
カタカナ言葉が大流行です

アンチエイジングの広告


Q:老化とは何なのか?

Q:なぜ老化が起きるのか?

Q:どうしたら老化を免れることが出来るのか?

今日から 老化の解説シリーズを始めたいと思います


<老化とは何か?>

まず 老化とは何か?

ヒトの最大寿命は120歳前後で
現在までのところ 
フランス人女性の122歳が最高で
日本人では女性の117歳が最高だそうです

元気そうな117歳の日本人女性

しかし どんなに長生きする人でも 
老化は避けて通れません

@物理学的な老化

老化とは 物理学的には 
体内のエントロピーが増大すること 
とされています

エントロピーの法則 
なんとなく懐かしいですね(笑)

エントロピーの法則の図示

宇宙も生物も 形あるものは全て 
放っておくとエントロピーが増大する

ヒトの体も例外でなく 
体内の乱雑さが増え 
バラバラになっていく


@生物学的な老化

生物学的には 歳を重ねるにつれて

*代謝がスムーズにいかなくなること

*細胞の分裂速度が落ちてくること

*生体の機能が全体的に衰えてくること

と定義されます

この 全体的に機能が衰えてくること 
がポイントで

特定の機能だけが衰えてきて 
日常機能に支障が出てくると
それは病気です

つまり 
老化は病気ではなく 生理的な現象と言えます

生理的老化について説明した図

<老化は病気か?>

生命活動と老化は表裏一体 
という考え方もあります

老化現象があるからこそ 
生理的な生命現象が滞りなく行えるわけで

老化の原因を除去・修復すると
他の生命活動に支障が生じてしまう可能性がある

そんな風に考える学者さんたちもおられます


@老化は病気を起こさせる

一方で 
老化は病気の進展に影響を及ぼす
のも事実です

病気になる確率 病気で死亡する確率は
加齢とともに急激に増加します

そういう意味では 
病死は老化の延長線上にある 
とも言えます

病死は老化の延長線上にあることを示すグラフ

また 
老化が加速すると 
生活習慣病や死に至る病が増えます

最もわかりやすい例を挙げると 
老化は動脈硬化の危険因子となり
生活習慣病 心血管疾患 脳血管疾患の
リスクを増やします

こうした事実は 
老化予防は疾病予防にもなる
ことを意味します

世でアンチエイジングが
こんなに喧伝されているのは
こうした理由によるものと考えられます


<老化には個人差があり 遺伝では規定されない?>

さらに興味深いのは 
老化には個人差があること

また 
老化と遺伝的要因の関係性は低いこと 
です

老化への 環境因子 遺伝因子の関与を示した図

遺伝的要因は 
老化を規定する因子の25%に過ぎず

残りの75%の因子は 
生活習慣や環境によるものと考えられています

生活習慣や環境としては
アルコール タバコ 日々の食生活などが
重視されています


一方 
遺伝的要因による老化の規定には
次々にその存在が明らかにされた長寿遺伝子が
深く関わっています


<老化は防げる?>

こうした事実から 
次のような仮説が生まれてきます

老化を規定する主たる要因である
生活習慣 環境を見直すことで
長寿遺伝子を活性化させることができるので

その結果として 
老化を防ぎ 長生きできるかもしれない

生活習慣 環境を見直すことで老化を遅らせる可能性を示した図

ヒトが免れることが出来ない 
生理的な現象である老化

病気になる確率 
病気で死亡する確率を増加させてしまう老化

でも そんな老化を 
生活習慣や環境の改善で遅らせることが出来る?

そんなことを聞くと 
その気になってしまいますが 
本当でしょうか?(笑)


次回は なぜ老化が起きるかを説明します
高橋医院