フランスの誤算
NHKで放送された 欲望の民主主義 番組が放送されたのは ちょうどフランス大統領選挙の 第1回投票の日でした ご存知のように 大統領選挙では 中道のマクロン候補が極右のルペン候補を破り 世界を安心させたわけですが それでも これまでのフランス政治を支えてきた 社会党 共和党の2大政党の候補が いずれも決選投票に残れないという異例の状況で しかも 極右だけでなく極左も大いに躍進したという まさに大揺れのフランスでした そもそもフランスは 200年以上前に 自由 博愛 平等の精神を掲げて 革命を経て共和国となり 民主主義を推し進めてきた国です 書き手は以前 パリで不幸なテロが起こったあとの追悼集会で 襲撃されたお店に献花をしていたおばあさんが 「自由 平等 博愛」と 泣きながらつぶやいていた映像を見て 民主主義の本家本元では 一般市民が こうしたシチュエーションで この言葉を語るのか! と びっくりしましたが その 本家本元の国で 民主主義はどうなっているのか? フランスの知識人たちに インタビューしていきます 政治哲学者のマルセル・ゴーシュは 民主主義は 生か死かの瀬戸際にあると嘆きます フランス人の80%は 民主主義が機能していないと感じていて 政治体制が重要な問題に対処できていないとも 感じている そしてその原因は 経済のグローバリゼーションにともなう社会の分裂だ と説きます 都市地理学者のクリストフ・ギリュイは 全世界的の中流階級が グローバリゼーションで職を失い 消失してしまい それにより 経済的な分裂が起こってしまった そして 社会のシステムは 中流階級の人々が落ちていった下層階級の 意見を拾い上げられなくなった これはまさに 民主主義の崩壊に他ならない とコメントします 社会学者のジャン=ピエール・ルコブも フランスでは 統治する者とされる者の溝が深まっていて 多くの貧しい大衆は 自分たちが生きている社会を 先が見えない 広大なカオスのような状態と感じている と指摘し 社会全体が それでもがむしゃらに 前に進もうとする生き方と こんなではなかった 過去の状態に戻りたいという 回帰主義的な生き方の 非現実的な二者択一状態に埋没している とも指摘します そして 彼等が共通して指摘するのは 二分化された社会の人々の 多くを占める悩める大衆が 極右や極左を支持する母体となり ポピュリズム隆盛の原因となっている ということです こうした 欲望の資本主義 グローバル経済により 社会が富める者 貧しい者に 分断されてしまう状況は トランプを大統領に選んだアメリカでも まさに同様に認められたことです では こうした状況が 民主主義にどのような影響を 及ぼしているのか 番組では 悩めるアメリカの状況を分析して その答えを探ろうとします
高橋医院