毎年9月末に 
インフルエンザワクチン のお知らせをしていますが
今年もそんな時期になりました

まず 
去年冬のインフルエンザ流行が
どんなだったかを
国立感染症研究所と厚労省がまとめた
レビューを参考に見てみましょう

去年 インフルエンザの流行が始まったのは
11月中旬
例年より1ヶ月ほどスタートが早く

ピークは今年の1月下旬~2月上旬で 
例年とほぼ同じで

去年冬のインフルエンザ流行についてまとめたグラフ

インフルエンザで
医療機関を受診された患者さんの数は1672万人で
過去2シーズンよりやや多いものの 
例年とほぼ同程度でした

去年冬のインフルエンザの患者数についてまとめたグラフ

ちなみに 東京都内においてインフルエンザの

*流行開始が宣言されたのは 11月24日

*流行注意報が出されたのは 12月28日

*流行警報が出されたのは      1月26日

でした

流行開始が宣言されてから 
約2か月間でピークに達する 
のがわかります

では 
どんなタイプ(亜型)のインフルエンザウイルスが
流行したのでしょう?

以前 説明しましたように

インフルエンザウイルスには 
A型とB型があり
感染時に出現してくる症状が異なります

インフルエンザの型の説明図

また 
A型とB型は流行の時期も異なり
シーズン始めはA型が流行し 
終盤にB型が流行するパターンが多い

A型とB型の流行時期の違いを示したグラフ

A型ウイルスの表面には
HAタイプとNAタイプの抗原が
発現していて

A型に発現している抗原を示す図

HAには16種類 
NAには9種類の
異なる抗原性があるので
その組み合わせによって
H1N1〜H16N9までの亜型に分類されます


一方 B型ウイルスは 
山形系統とビクトリア系統に大別されます


このように 
インフルエンザウイルスには多くの亜型がありますが

毎年 主に流行する亜型が異なります

去年 主に流行したのは 
AH3亜型で
シーズン全体に占める割合は
85%に達していました

またシーズン終盤の
2月末からはB型の流行が始まり
3月末以降はB型がA型を上回っていました

昨シーズン3月末以降はB型がA型を上回っていたことを示したグラフ

一方 一昨年の2015~16年シーズンは
AH1pdm09亜型が主流であったものの 
48%にとどまり
B型などの他の亜型の流行も
高頻度に見られました

さらに興味深いことに 
その前の年の2014~2015年シーズンは
昨年と同様に AH3亜型がメインで

2013~2014年シーズンは 
2015~2016シーズンと同じで
AH1pdm09亜型が主流で 
B型も多かった

2013~2015各シーズンに流行したA B型の亜型の分布を示すグラフ

上に示した 
昨年から過去4年間のシーズンの
ウイルス亜型ごとの流行の
経時的変化の棒グラフを見ると
1年おきに 
パターンが似通っているのがわかります

また下に示す
各シーズンに流行した
ウイルス亜型の頻度を表す円グラフでも
流行する亜型のパターンが 
1年おきに似通っているのがわかります

ウイルス亜型ごとの流行の経時的変化の棒グラフ
このように
主として流行するウイルス亜型が 
1年ごとに交代する現象が観察されます

この興味深い現象が生じる
理由のひとつとして
前年に流行したウイルス亜型に感染した人は
抗体を有していることが
推察されています

ということで
これまでと同じような
1年おきに流行する亜型が異なる状況が続くならば

今年の冬に流行しそうなのは
一昨年と同じAH1pdm09亜型で 
シーズン終盤にはB型の流行も推測されます

はたして 
予想通りになるでしょうか?

そして 
インフルエンザにかからないためには 
どうすればよいのでしょうか?


高橋医院