昨年のインフルエンザの流行の様子を
解説しましたが

今年もいよいよ 
インフルエンザのワクチン接種が開始されます

そこで ワクチンについて復習も兼ねて 
再度説明します


インフルエンザワクチンを接種してから 
その効果が発現するまでに
約2週間かかります

体の免疫系がワクチン成分に反応して 
体内に抗体を作成するのに
2週間ほどの時間を要するからです

抗体を作成するのに 2週間ほどの時間を要することを示す図

インフルエンザの流行は 
例年11月中旬~末頃から始まりますが

年によっては
11月に入ってすぐに流行することも
ありますから

10月中旬から 
遅くとも11月中旬までには 
接種した方が安心です

ワクチンの効果は 
約5か月間持続しますが
接種後5か月すると 
50%の人で
抗体が有効水準以下になってしまいます

ですから

去年ワクチンを接種したので 
今年はしなくても大丈夫!
というわけにはいきません

ましてや 
流行するインフルエンザウイルスの亜型は
年によって異なるので
毎年新たにワクチンを接種する必要があります

インフルエンザワクチンに 
どのような種類のウイルス亜型成分を組込むかは
日本では 
国立感染症研究所が厚労省の依頼を受け決定します

世界的見地からの
世界保健機構(WHO)の推奨や
日本での昨年の流行動態 抗体保有率などを
参考にして

そのシーズンにどのような亜型が
流行するか予測して
ワクチンに用いるべきウイルス亜型が決まります

今年のインフルエンザワクチンには

*A/シンガポール/GP1908/2015 
(IVR-180)(H1N1) pdm09

*A/香港/4801/2014
(X-263)(H3N2)

*B/プーケット/3073/2013
(山形系統)

*B/テキサス/2/2013
(ビクトリア系統)

の4種類のウイルス亜型が用いられます

今年のインフルエンザワクチンに使用される4種類のウイルス亜型を示す図

日本人が 
これらウイルスの感染リスクを下げるのに
充分量の抗体をどれくらい保有しているか 
昨年末に調査したところ

A型では 
A(H1N1)pdm09亜型 
A(H3N2)亜型ともに
30歳以降の中高年層で抗体保有率が低く

また各年齢層ともに
A(H1N1)pdm09亜型よりも 
A(H3N2)亜型の方が
抗体保有率が低いことがわかりました

各年齢別のA型亜型に対する抗体保有率を示すグラフ

一方 B型では 
山形系統 ビクトリア系統ともに
A型に比べて抗体保有率が低く
やはり30歳以降の中高年層で 
その傾向が著明なことがわかりました

各年齢別のB型亜型に対する抗体保有率を示すグラフ

前回 説明しましたように
今年はAH1pdm09亜型 
シーズン終盤にはB型の流行が予想されますから

特に 
それらに対する抗体保有率が低い
30歳以上の方は
ワクチン接種を受けられることを
お勧めします

残念ながら
ワクチン接種したら
絶対にインフルエンザにならないわけではありません

統計によると 
ワクチンの効果は70~80%と言われていますが

ワクチンを接種しておけば 
たとえ感染しても 症状が軽くてすみ 
重症化を防げますし
なにより会社や仕事を休まなければいけなくなる
リスクが減ります

高齢の方や 
糖尿病 呼吸器 循環器の病気などで
治療されている方は
感染のリスクが高いことから 
是非お受けください

予防接種を勧められる人をまとめた図

また 妊婦さんや授乳中のお母さんも 
ワクチン接種をお勧めします

妊婦さんは 赤ちゃんへの安全性の面から
抗インフルエンザ薬を服用しにくい場合があるので
余計に予防接種が推奨されますし

授乳中でも予防接種は問題なく行えます


当院でのインフルエンザワクチン接種は 
10月2日から開始しています

既に一昨日も昨日も 
接種に来られた患者さんがおられました

接種費用は昨年同様 税込み3200円 です

ワクチンの写真

今年度のワクチンの生産量 供給量は
昨年と同様~やや少なめとの情報が 
厚労省・医師会等から伝達されています

ですから 感染リスクが高い方は 
早目に接種された方が良いですし
13歳以上の方には 
適切に1回のみの接種が勧められています

当院では 
昨年とほぼ同数のワクチン確保を予定していますので
昨年接種され今年も接種を希望される方
今年から新たに接種をご希望の方は
お早めにお問い合せ下さい

不明なことがあれば 
遠慮なくお問い合わせください


高橋医院