健康を維持するために 
定期的に運動されている方は多いと思います

運動されている方の姿

確かに 
運動は心身の健康に良い効果があります

血圧を下げ 
中性脂肪を低下させ

糖尿病 脳血管障害 虚血性心疾患の発症リスクを低下させ

アルツハイマー病や認知症にも効果があるとされ

がんの発症率も低下させると報告されています

1日の歩数による疾患予防効果をまとめた表

しかし 
もともと運動習慣がない人が
不本意ながら(?)日々の運動を始める理由は

やせたいから 体重を減らしたいから!

ジョギングする肥満な人の姿

でも 
本当に運動すると やせられるのでしょうか?


腹筋運動する肥満な人の姿

肥満人口の急激な増大に頭を抱えたアメリカ政府は
1950年代から 
運動すればやせられる と言い続けてきました

それは「運動神話」になりつつあります

しかし 
いくら運動を頑張ってもやせられない
と嘆く方は少なくありません

本当に運動すればやせられるの?

そんな疑問に答えるために

アメリカの健康関連メディアの記者が
PubMedという科学論文の検索ソフトで
運動と減量の関係を論じた
100本以上の論文を読み漁り

同時に 
運動 栄養 肥満を専門とする研究者たちを取材しました

どんな結果が得られたかというと、、、


まず 
太古の昔とほとんど変わらない生活を続けている
アフリカ・タンザニアのハッザ族の
消費カロリーの調査結果を見てみましょう

彼等に肥満の人はいません 
皆さんスリム!

狩りをするアフリカ・タンザニアのハッザ族

ハッザ族の人たちがやせているのは

車ばかり使って歩かず 
1日中デスクにしがみついて
ほとんど運動することがない現代人の我々より
はるかに多くの肉体労働 運動をして
1日の消費カロリーが多いからに違いない!

そう考えて調査したのですが

なんと彼等のエネルギー消費量は
欧米の人々とほとんど変わらなかったのです!

あんなにたくさん運動しているのに、、、

運動量が増えれば 
エネルギー消費量が増えてやせられる

という話だったよね?

えっ 違うの?

運動によるエネルギー消費量を示す図

そもそも 
運動で消費されるエネルギーは
総エネルギー消費量の
10~30%程度しか占めていません

最もエネルギーを消費する活動は 
基礎代謝で60~80%

食事の消化による消費が10~30%で

残りの10~30%が 
身体活動による消費ですが

その多くは仕事や家事にともなうもので

運動による消費は その10%にも満たない

運動で消費されるエネルギーは 総エネルギー消費量の10~30%程度しか占めていないことを示す図


つまり

運動による消費は 
身体活動による消費の 
ごく一部に過ぎないのです!

(こういう書き方をすると結論が見えてしまいますか?:笑)

だから 
運動で体重が少ししか減らなくても 
別に驚くことではない!

えっ いきなりエクスキューズですか?(笑)

言い訳する人の姿

あるレビューには 
こんなことが書かれていました

減量のために運動しても
20週間以上経過すると 効果は予想を下回る

減量のために運動しても 20週間以上経過すると 効果は予想を下回ることを示すグラフ

えっ 長期的に見ると 
運動しても体重は減らないの?


別の論文は こんな結論をしています

肥満のヒトが 
運動によってかなりやせようとしたら
とてつもない時間と強い意志 
そして膨大な努力が必要だ

運動で体重を大幅に減らすのは 難しい!

えっ 
運動すればやせられるのではなかったの?

スポーツクラブのインストラクターさんも
テレビのコーラや食品メーカーのコマーシャルも
アメリカの公衆衛生局や日本の厚労省も
どこぞの 左利きでネコバカの医者も

太った方は 
頑張って運動をして体重を減らしましょう!

と言っていたじゃないの?

話が違うじゃない!

嘆く運動着を着た肥満の人

お怒りはごもっともと存じますが
ちょっと冷静になられて 次回にお進みください(笑)

季節の挨拶のクリスマスカード


高橋医院