セーヴル ロココ ポンパドール
サントリー美術館で開かれていた セーヴル 創造の300年展 を見てきました フランスを そしてヨーロッパを代表する磁器である セーヴル ヨーロッパの磁器と言えば マイセンらいしか知りませんでしたから セーヴルの予備知識は全くなし 興味本位で ちょっとどんなものか覗いてみましょう という感じでしたが(笑) でも これが 予想していた以上に 面白くて 良かったのですよ! なんといっても 最初の展示品がコレですから! マリー・アントワネットの バストを模したと言われる 乳房のボウル 実際にミルクを飲むのに使われたそうですが ドキッとするようなフォルムだけでなく セーヴル初期の軟磁器時代の特徴の 美しい白色と上品な紫色のコントラストが 見る者の心をつかみます 教科書的にセーヴルの歴史を紐解くと 17世紀 シルクロードから運ばれてきた 中国の陶磁器の美しさに 心を奪われたヨーロッパの人たちは 自分たちもあのような磁器が作れないかと 試行錯誤を繰り返し やがてドイツのマイセンで ヨーロッパで初めて白磁の焼成に成功し ヨーロッパにおける陶磁器作製の歴史が始まります フランスは マイセンに後れをとっていましたが やがてマイセンの秘法が 外部に漏れるようになり 18世紀中頃から フランスでも陶磁器の製陶が始まります そこで ベルサイユにほど近いセーヴルに 王立製陶所を作り 一流の画家 彫刻家 絵付師 品質管理担当者などを雇用して セーヴルの名を世界にとどろかせたのが 誰あろう ルイ15 世の寵妾 あの ポンパドール夫人なのですよ! いやー 知りませんでした! ポンパドール夫人は有名なので ご存知の方も多いと思いますが 平民階級の出身ながら 際立った美貌に加え その深い知性と教養により ルイ15世に見染められ 24 歳の若さで 公爵夫人にまでのし上がり 時の政治・経済・文化に 大きな影響を与えた女性です 書き手は昔 ポンパドール夫人に興味を持って 彼女に関する本を 何冊か読んだことがありますが 自ら文化サロンを主宰して 多くの文化人たちを援助して 文化の興隆に大きく貢献したのは スゴイと思い そのサロンは どんな雰囲気だったのかなと 思いを巡らしたりしたものです(笑) で 彼女が育てた文化こそが ロココ文化 ブルボン王朝末期の 果物が熟しきる前の 爛熟の極みのような文化 富と権力の象徴で いかにも貴族趣味 豪華で 優雅で 官能的で 女性的で そして 退廃的 まさに マリー・アントワネットが暮らした時代です 書き手は この手は 決して嫌いではないのですが(苦笑) セーヴルの陶磁器も ロココの粋 とも言える特徴を有していて ブルボン王朝末期の 鼻持ちならない贅沢なベルサイユ宮廷文化を 普段使いの食器や装飾品として 優美に華やかに彩っていたわけです 曲線的な形をした壷や皿や その名も「ポンパドール・ピンク」を地色にした カップやポンポニエールが その典型例ですが このピンク ポンパドール夫人の お気に入りだったようですが あまりに高価で 色の調合法も複雑だったので やがて廃れたそうです そうなのか ポンパドール夫人のサロンや 彼女が興したロココ文化には 書き手も大いに興味も馴染みもありましたが セーヴルの陶磁器が そこに絡んでくるとは知りませんでした でも それ以上に 書き手の興味をひくものがあって、、、
高橋医院