自律神経失調症の診断と検査法
自律神経失調症の診断は 既に説明したように少々厄介です 診断の基本は 除外診断 他の疾患の可能性を否定することです からだがすっきりしない 疲れがとれないといった 自律神経失調症を疑わせるような症状を訴える 患者さんが来院されたとき まず 自律神経失調症の可能性を疑い 次に 症状の原因となるような 内臓の病気がないか検査します そして 内臓の器質的病変の可能性が否定されたら 自律神経機能の低下を確認します この3段階の手順で 自律神経失調症の診断がなされますが 3番目の 自律神経機能の低下の確認が難しい というのも 自律神経の機能を定量的に評価する検査法が なかなか良いものがない 現在 唯一行われているのが 心電図を用いて 心拍変動のリズム を 評価する検査です (R-R間隔変動) ヒトの心臓が拍動する間隔は 1拍ごとに微妙に変化していて ゆらぎがあります このゆらぎは 交感神経 副交感神経により制御されていて 心臓が疲れないように 副交感神経が交感神経をなだめ 心臓を休ませようとしているのです そのために 心拍変動・ゆらぎが生じます 自律神経の機能が低下して このバランスがなくなると 交感神経が優位になり 心拍変動のゆらぎがなくなり 心拍リズムが 機械のように一定になるのです そこで 心臓が拍動する度に 心電図上に現れるR波の間隔を測定 分析して 心拍変動のゆらぎを定量的に解析して 自律神経の機能の低下の有無を 評価するのです これが 現在行われている 唯一の自律神経機能評価法です 但し この検査法は あくまで心臓に対する自律神経の機能を 評価しているもので この結果をもって 他の器官に対する自律神経機能も評価できるか はっきりとわかっていません こうした事実が 自律神経失調症の診断を 困難にさせている原因のひとつです
高橋医院