女同士の微妙な関係
もう だいぶ前のことになりますが NHKの大河ドラマで 松山ケンイチさん主演の 平清盛 が放映されていました 視聴率が 大河ドラマの歴代ワースト記録になるくらい不評で 営業的には散々だったようですが 書き手は 結構面白いと思い あまりテレビの連続ドラマを見ない書き手としては 珍しく毎週欠かさず見ていました そのなかでも 印象に残っていることのひとつが 西行役の役者さんが 和歌を詠むシーン で 本当に 歌を唄うように大きな声で節をつけて 作品を披露するのですよ 季節のTPOに応じて 昔の名歌と言われる和歌を さらっと口ずさんだりできると たいそう格好良いと思うのですが 和歌は どうも馴染みがなくて 本に書いているのを 文字で読むのが面倒くさい という印象が強かった でも あの番組を見て 平安時代には あんな風に まさに歌のように詠んでいたのか 確かに 文字で読むより 音として耳から入った方が 印象に残るなあと いたく感心したのを覚えています そのあと 平安時代の王朝文学に関する本を読む機会もあって 和歌集とか日記とか 結構面白いかもと思いつつ 未だに本格的に読んだことはないのですが そのあたりの書籍を漁っていて 書き手の下衆心に触れたのが(苦笑) 清少納言と紫式部の関係です 清少納言 は 枕草子 紫式部 は 源氏物語 いずれも王朝文学を代表する 名作古典の作者ですが 二人とも同時代 一条天皇の後宮で女房として働いていたことから ちょっと微妙な ライバル関係のようなものがあったようで そういう下衆っぽいのが 決して嫌いではない書き手は ついつい興味を持ってしまうのですよ(苦笑) で 平安時代の文化的環境は なかなか雅で やんごとないのですよ もちろん 奈良時代の 中国に追いつき追い越せブームが 残っていますから 圧倒的に漢字文化が幅を利かせていて 公文書などは全て漢字 男が身につけるべき教養の第一は 漢学だったわけですが 徐々に 平仮名を使った和歌文化 が 勢いを増してきて 特に男女の関係においては 何度か和歌のやりとりをして 互いの人格 教養の深さを推し量り 親交を深めていく そんなおしゃれなことが 行われていたそうで まあ 鼻持ちならない とも言えますが(笑) 一方で 政治の世界はいつの世もドロドロしているもので 当時は 藤原摂関家の全盛時代で ときの権力者は 自分の娘を次々に天皇の后に送り込んで 天皇を意のままに操り 思うままに政治を動かしていたわけです 当然 藤原家内では トップを巡る権力闘争が頻繁に行われていて 清少納言や紫式部が活躍した一条天皇の時代は 最初は藤原道隆が 絶大なる権力を握っていましたが 彼は 当時は飲水病と呼ばれていた 糖尿病により亡くなってしまいます その後 道隆の子供達と 道隆の弟の道長との間で権力闘争が行われ 剛腕だった道長が天下を握ります ちなみに道長は以前ご紹介したように 日本を代表する(?)糖尿病患者さんとして インスリンの結晶とともに 切手に描かれています さて こうした文化的 政治的環境のなかで 清少納言と紫式部は どのようにして名作を世に残したのか? それぞれの性格はどんなだったのか? そして 気になるふたりの関係は? 次回 詳しく解説します
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