見えないものを見る
オディロン・ルドンは 書き手のお気に入りの画家です 最初に見た彼の作品は 妖しい目玉が宙を浮遊する モノトーンの何とも言えない世界 とても強烈な印象でした(笑) ちなみに この 目玉 ゲゲゲの鬼太郎の水木しげるさんも 見てビックリされたようで この絵から 鬼太郎のお父さんの目玉オヤジ のイメージが インスパイアされたそうです(笑) それから 別の機会に パステル調の色彩鮮やかな花の作品を見て とても気に入ったのですが 最初は 同じルドンが描いた作品とは気づかず あのモノクロの妖しい世界と うって変わった画風の変化に 驚いたものでした そんなルドンの企画展が 三菱一号館美術館で開催されていたので GWの一日 彼の世界を楽しみに行きました この企画展 タイトルはなんと 秘密の花園 うーん なんだか アヤシイ感じが示すね?(笑) ルドンの世界に魅かれる人は少なくないようで NHKの日曜美術館では 見えないものを見るというタイトルで この企画展を紹介する番組を放映していました このタイトル まさに 言い得て妙です!(笑) 祝日のお昼過ぎに行ったので それなりの混雑でしたが 見に来ている人の年齢層は 比較的若かったです 三菱一号館は 多くの展示室が比較的狭いので プライベートな雰囲気もあって良いのですが 混んでいると圧迫感を感じてしまうのが たまにキズです(苦笑) さて ルドンは 19世紀末のフランスの画家 その画風から 幻想の画家 と呼ばれ 前述したように 見えないものを見る という飽くなきスタンスで 生涯を貫き通しました また 自由な解釈を好む画家で 自分でも 自由な思いつきで ドンドン描いていきますが 鑑賞者にも 自由に作品を解釈してもらうことを 望んでいたそうです 自分の作品は 音楽のようなものだ 見る人が 思うがままに 想像を膨らませてくれたら良い と語っていたとか 自由で 懐の深い方だったのですね 19世紀末のフランス画壇といえば 印象派の全盛期で ルドンは あのモネと同い年だったそうです 印象派の画家達が描く 光あふれる作品は 世の人々を魅了しましたが ルドンは 敢えて 印象派のとりこぼしたもの 光では描き切れなかったものを描き 時代の潮流に安易に組みせず 自分のオリジナリティを 表現しようとし続けました こうしたところが 書き手がルドンを贔屓にする大きな理由のひとつです 天邪鬼の書き手は どうも印象派が苦手で あまりに多くの方々が 印象派の作品を賛美されると でも 彼等は 光と自然しか描いていないよね 彼等の作品からは 精神的なものは あまり感じないよね などと 若い頃から 皮肉なことをうそぶいていました(苦笑) だから 書き手の御贔屓は 印象派の対極をなすともいえる 象徴主義 ベルギーのクノップフとか 大好きです ちなみに ルドンは そうした自覚はなかったでしょうが 象徴主義の先駆けとも言える存在で 実際 象徴派の画家達は 「見えないものを見る」 というルドンのスタンスを 手本としていたそうです そんなルドンは 1840年にボルドーで生まれましたが 生後2日で 親戚の老人に里子に出され 11歳まで 荒涼とした田舎町のペイル・ルバードで育ちます 病弱 内気で あまり学校にも行かず ひとりで 空想の世界に浸っていることが 多かったそうですが 小さい頃から 絵を描くのが好きだったとのこと こんな風に 故郷の風景を 生涯にわたり何度も描いています うーん こういうのを 栴檀は双葉より芳し と言うのでしょうか?(笑) 内気で夢想家の少年が どんな経緯で 幻想の画家に育ったのでしょう? 企画展ならではのお楽しみで これから 彼の生涯の流れにそって その作品を楽しむことにしましょう
高橋医院