ムンプス・おたふくかぜ
沖縄から始まった はしか の流行が マスコミで報道されて以来 ワクチンの問い合わせが とても多い状況が続いています その影響か はしかワクチンはメーカーで欠品 はしかと風疹の混合ワクチンの MRワクチンも在庫僅少で なかなかスムーズに入荷してくれず お問い合わせくださる方には ご迷惑をお掛けしていて 申し訳ありません で そんな時期に 某週刊誌から取材の申し込みがあり そのお題が なんと おたふくかぜ なんでも 6月の死に至る危険な病 という特集で そのなかで おたふくかぜ を 取り上げるのだそうです なぜに6月に おたふくかぜ? だったら トレンドの はしか にすればいいのに などと思いましたが(笑) 良い機会なので 改めておたふくかぜについて勉強しました おたふくかぜは 小児科領域の病気なので 内科医が患者さんに接したり 勉強する機会は意外に少ないのですよ でも 大人がおたふくかぜにかかると 危険な面もあるのです <ムンプス おたふくかぜ とは?> ムンプス(流行性耳下腺炎 おたふくかぜ)は 有痛性の唾液腺腫脹や 発熱をともなうウイルス感染症です 唾液など気道分泌物の飛沫や接触により ヒトからヒトへ感染します 潜伏期間は通常 12〜25日間と長いのが特徴です ムンプスという名前の由来は不明ですが ひどい耳下腺炎を起こした患者さんが ぼそぼそ話す(mumbling speech) ことによるのではないかと 報告されています 子どもにとっては 重要な病気のひとつで 学校保健安全法に定める第2種学校感染症疾患で 「耳下腺 顎下腺 舌下腺の腫脹が発現後5日を経過し かつ 全身状態が良好になるまで」 は 学校への出席停止となります <患者さんの年齢層> 患者さんのほとんどが幼少児で 4歳以下(クリーム色)の占める割合が 45 〜47%で 0歳は少なく 年齢とともに増加し 4歳が最も多い 続いて5歳 3歳の順に多く 3〜6歳で約60%を占めています <原因ウイルス> 本疾患の原因であるムンプスウイルスは パラミクソウイルス科のウイルスで 表面にエンベロープをかぶった マイナスセンスの1本鎖RNA ウイルスです 大きさは100 〜600nm で 主に6つの構造タンパクを有しています 表面のエンベロープに 2種類の糖タンパク質を有し この2 つのタンパクに対する抗体が 感染から宿主を防御します ワクチンも この抗体を作らせるものです <感染経路> 耳下腺腫脹の1〜2日前から 腫脹後5日までが 他人への感染源となりやすい 感染力は 麻疹には劣るものの 比較的強いとされています ウイルスは唾液中に含まれるため 咳やくしゃみでもうつる飛沫感染です 飛沫で汚染されたものに触れる接触感染でも 感染します 自覚症状がないまま感染する 不顕性感染もありますが その場合でも 唾液中はウイルスが含まれています おたふくかぜにかからないために マスクの着用や身の回りの消毒を心がけましょう
高橋医院