糖尿病性網膜症 治療と対策
糖尿病性網膜症の 検査と治療について説明します <検査> @眼底検査を行います 進行すると大きな出血や斑点があらわれ このような変化は眼底検査でわかり 眼底写真で記録されます <治療> @基本は 糖尿病コントロールを強化することです *HbA1c 6.9%未満 *FBS 110mg/dL未満 *食後2時間値 180mg/dL未満 を目標にします 但し 治療により低血糖を起こすことは禁物で 重症低血糖が 網膜症 腎症の発症の進展リスクを 有意に上昇させてしまいます @光凝固療法 レーザー光線を網膜の血管にあて その熱で 細かな血管から血液成分が漏出している部分を 固めてしまい 進行を多少なりとも抑制しようとするのが この治療の原理です 最近では 新生血管があらわれる増殖網膜症の早期はもちろんのこと 前増殖性網膜症の段階でも 光凝固療法を受けたほうがよいと考えられています 網膜症がさらに進んで 大出血や網膜剥離 網膜の前にある硝子体の混濁などが出現すると 治療は極めて困難で 失明の危険が差し迫ってきます 完全失明をくい止める事を目的として 硝子体手術など 様々な治療が 行われていますが 確実な方法はありません <対策> @1年に1度は 眼科受診をすること 特に糖尿病を発症して10年以上経過している方は より高頻度な眼科受診が推奨されます @リスクファクターである 血圧のコントロールも重要で *血圧は140/80mmHg未満に維持し 高い場合は レニンアンギオテンシン阻害剤などの 降圧薬治療が有用です @脂質異常症は 有意なリスクファクターではありませんが 高中性脂肪血症治療薬のフィノフィブラート系薬が 網膜症の進展抑制に有効との報告があります @妊娠は 網膜症の発症・進展を促進するので 注意が必要です 妊娠により リスクが1.6~2.5倍に上昇し HbA1c高値 妊娠初期の急激な血糖低下 高血圧が進展因子となるので 早期治療が必要です 但し 出産後には改善し 長期的な進展リスクにはなりません
高橋医院