禁煙の意義と効果
さて いよいよ 禁煙の話題に入っていきましょう <禁煙することの意義> 喫煙は 我が国の死亡に関するリスク要因の ダントツトップであり 疾病の原因の中で 確実に防ぐことができる最大のものです ですから 禁煙は 最も確実に疾病を減らすことのできる方法で 禁煙推進こそが 社会全体の健康増進に寄与する最大のもの と言えます 禁煙の意義は 想像している以上に大きいのです! <さまざまな禁煙の対策方法> ひとくちに禁煙と言っても いくつかの対策方法があります @防煙 青少年が 喫煙習慣を身に付けることを防ぐことで 近年では 小学校低学年から考慮すべきである とさえ言われています さすがに書き手も 小学生のときは吸いませんでした(苦笑) @断煙 喫煙している人に 禁煙の動機づけをし 禁煙に踏み切らせること 喫煙者の65%近くが やめたい あるいは本数を減らしたいと 思っているそうですが しかし その多くは いずれ禁煙したいと思っているだけで 今すぐに始めたいとする人はわずかで また必ずしも容易でないことから 最初から諦めている人も少なくないそうです 2008年の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば 20歳以上で現在喫煙している 男性の28.5% 女性の37.4%が やめたいと考えており 本数を減らしたいと考えている者を含めた 禁煙希望者は 男性61.4% 女性62.9%に上るとのこと ですから 禁煙に興味はあるけれど まだ真剣みがない人 最初から諦めている人たちに いかに関心を持ってもらい 動機づけを行い 実際に断煙行動に踏み切らせるか が大切になります @禁煙維持の支援 残念なことに 断煙してもその半数以上が 半年以内に喫煙を再開します 1年後も禁煙を維持している人は たかだか10%にすぎないそうです ですから 周囲が禁煙の維持を サポートしてあげなければなりません <禁煙の効果> @禁煙後には 次のような経時的な健康改善効果が現れます *禁煙直後から 血圧 脈拍数が正常に戻り 血流が改善します *3日ほどで 体内からニコチンがなくなり 呼吸や歩行が楽になり *2~3週間で 歩くのが楽になります *5年以上で 肺がんリスクが非喫煙者レベルまで落とせ *10年で 色々ながんのリスクが減ります @喫煙した人が実感する 主な体調 症状の変化は せきやたんが止まった 呼吸が楽になった 目覚めがさわやかになった 肩こりがなくなった 食べ物の昧がよくわかり おいしく感じる 肌の調子がよくなった 胃の調子がよくなり 食欲が出できた 口臭がしなくなった 歯をみがく時 吐き気がするのがなくなった カラオケで声がよく出るようになった ちょっとくらい走っても息切れしなくなった などがあります @社会的 心理的変化も見られます 衣服や部屋がタバコ臭くなくなった タバコ代が浮く 吸えないところにも行ける 周囲や家族から喜ばれる やればできるという自信がついた 他人に不快感を与える心配がなくなった <循環器疾患への効果> 急性ならびに慢性影響の両視点から また疾患の予後を左右する因子としても 禁煙の意義は大きいと言えます @効果 禁煙による虚血性心疾患罹患率の低下は 禁煙後比較的早期に現れ 禁煙後1年で 冠動脈心疾患の罹患率は大幅に低下します 急性心筋梗塞を起こしたあとの 再発死亡率においても 禁煙した人では低下が認められます 1日15本以上喫煙を続けた人に比べ 禁煙した人では 心筋梗塞の再発率は半分程度となり 死亡率も低下しています しかし 再喫煙すると そのリスクはまた上昇してしまいます また 喫煙者では 降圧薬のβ遮断薬やCa拮抗薬の 抗虚血作用が減弱しており 禁煙すると 薬剤の効果が回復することが報告されています 脳卒中に関しては 発症リスクは 禁煙後2 年以内に急速に減少し 5年以内に非喫煙者と同じレベルになります <呼吸器疾患への効果> 肺がん COPDともに 禁煙すると予防 治療に効果があることが 多くの研究で示されています 肺がんは 国内外の研究成績を総合すると リスクが禁煙後10年で30~50%まで低下し その後も漸減します COPDは 禁煙により肺機能低下の経年変化が減弱され 延命がもたらされます
高橋医院