ダルヴィーシュは 憧れなんだ

酔っぱらった若者は 
そう語ったそうです

語っていたのは
イランのとある高級住宅街にある
邸宅の地下室で
こっそりと密造ドブロクを楽しんでいた
エリート大学生

本屋でたまたま見つけた
「イスラム飲酒紀行

イスラム飲酒紀行 の表紙

無類の酒好きのルポライターが
飲酒ご法度のイスラムの国々で
地元民にまみれて密造酒を探し回る

そんな奇想天外な企画の本でしたが
これが意外に面白かった

なかでもイランの模様が
とても印象的でした

イランはホメイニ革命以来
イスラム諸国の間でも
一番イスラムの戒律に厳しい国になり

ほとんど唯一
外国人旅行者も含めて
完全に飲酒が禁止されているそうです


今でも そうなのかな?

しかし 蛇の道はなんとやらで
鼻が利く著者は
タクシーの運転手やたむろする若者に聞き入って
密造酒を飲ませてくれるところを探し出します


そうした危ない場所で
ほろ酔い気分になったイラン人達が
語る様子が面白い

総じて
ホメイニ・イスラム体制に対する批判が
噴出するようです

演説するホメイニ師の写真

俺達はペルシャ文化を継承する者で 
イスラムなんて大嫌い

ホメイニになってから 
社会から文化の香りがしなくなった

我々は
「酒はよきかな」と
古典詩集のルパイヤートでうたった
かの誇るべき吟遊詩人の
オマル・ハイヤーム の末裔だよ

古典詩集のルパイヤート の表紙

なんで硬直した
イスラム原理主義の支配下で
こうやってコソコソと
密造酒を舐めてなきゃいけないんだ!

隠れて酒を飲む人の姿

まあ どこの国でも
酔っ払いは文化を愛し 
そして勇ましいものです(笑)


で 文頭の話題になっていきます

書き手は 
不勉強で知りませんでしたが
イスラム神秘主義の一派に
スーフィーと呼ばれる人達がいて

彼等は
清貧な生活 修業を通して
神との合一を目指す人々ですが
合一のための手段として 
瞑想 踊り 音楽などに陶酔する

スーフィーについて書かれた本の表紙

もしかして、お酒にも、、、?

そんなスーフィーには 
各地を放浪する修行僧がいて
彼等がダルヴィーシュと
呼ばれているそうです

ダルヴィーシュの姿の絵

ホメイニ・イスラム原理主義体制下では
ある種の退廃的な
文化の香りを有するスーフィーは
当然のごとく
異端視されるようになりましたが

我々はペルシャの末裔で
イスラムではない 

とまでは過激なことは言わない若者も

俺達はイスラムでなくスーフィーだ 

くらいなことは 
酔うと滔々と語るのだそうです


このあたりの話は 
とても興味深かったです


さて 
ネットでスーフィーのことを見ていたら
なんとトルコを旅行したときに観て 
とてもインパクトが強かった
メブラーナの 
セマー 廻旋舞踏が出てきました

メブラーナの廻旋舞踏を踊る様子

セマーも
代表的なスーフィー文化なのですね

スーフィー文化 
奥が深くて面白そうです

最近のイランは
かのツイッター大好き大統領の
苛めにあい(?:笑)
政治的に色々と大変なようですが

書き手は

ペルシア文化を引継ぐ存在としてのイラン」

 にはとても興味があります

イランのモスクの写真

なんといっても
あのアレクサンダー大王と互
角に渡り合った
アケメネス朝ペルシアですからね

アレクサンダー大王と闘うアケメネス朝ペルシアの人々を描いた絵

ちなみに イランでは
ノンアルコールビールの種類が
半端なく多いそうです

イランのノンアルコールビールの写真

イランのノンアルコールビール 
味わってみたいなあ(笑)


高橋医院