ファッションか スタイルか
前回に続き Brexitのレポート番組を見て思ったことですが バラカンさんや小林さんは イギリス人は ルールの“硬さ” を嫌う国民で ルールは曲げるためにあるものと考え それに過度に縛られるのを善しとしない 自由を尊ぶ風潮がある と 語られていました だから EUの微細にわたる諸規則で 無理に統合されるのには辟易で それがBrexitを志向する 原因のひとつではないか と この論点から転がって イギリスは実利主義だ という話が展開します 去年 数十年振りに サッカー・プレミアリーグを制した マンチェスター・シティは 中東や中国からの外資で補強して強くなったのですが サポーターの人達は そんな背景には全くお構いなし チームが強くなるのなら 資金源は問わない というスタンスだそうで そういう実利的 結果主義的なところも アメリカに似ていると(笑) 確かに とてもうなずける指摘です 良きにつけ悪しきにつけ イギリスにはそうしたところがあります やはりヨーロッパ大陸とは ちょっと違う感じがします 個人的には 若い頃は そんなイギリスっぽさは あまり好みではありませんでしたが 最近は 意外に嫌いではありません(笑) 興味深かったのは スコットランドの動向です 2014年に イギリスからの独立を問う国民投票を行った スコットランドですが スコットランド人はBrexitには反対で もし6/23の国民投票で イギリスがEUからの離脱を決めたら スコットランドでは 再びイギリスからの独立が問われることになる というのです つまり 彼等にとって大切なのは イギリスにいることでなく EUにいることで イギリスがEUの一員でなくなったら イギリスとくっついている意味はない うーん わかりやすいですね!(笑) ちなみに スコッチウイスキーの国・スコットランドでは 最近は クラフトビールならぬクラフトウイスキーがブームで 小さな蒸留所で 昔ながらの伝統的製法で作られたウイスキーが 大人気とか とあるクラフトウイスキー蒸留所のオーナーは イギリスが1930年代に 使用を法制化したオーク樽でなく スコットランドで昔から使われていた 桜 リンゴ 栗 桃などの木で出来た樽で ウイスキーを蒸留させているそうで このスタイルは 若者にも支持されているとのこと まあ イングランドとスコットランドの歴史的葛藤は 根深いですから 個人的には エリザベス1世とスコットランド女王メアリーの関係などは 結構ドロドロしていて 嫌いではありません(苦笑) ちなみに 桜や栗の木の樽で熟成したウイスキーは スパイシーだそうで 左利きはその点にも とても興味を持ちました(再苦笑) 最後にもうひとつ この番組でとても印象的だったのが ロンドンのテーラー街 サヴィル・ロウの老舗テーラー店主の取材で 彼が語る 紳士の装いのポイントとは 基本的には 落ち着いた奇をてらわないデザインで そこに ほんの少し 控えめに 個性を表す というもので さすが! なるほどねえ と思いましたよ 変化は必要で大切だが 重要なのは 受け継がれてきた伝統・スタイルであって 時代によって移り変わるファッションではない ファッションに理解を示しつつ あくまでスタイルは貫く うひゃ~ 格好良い!(笑) でも 彼にスーツを仕立ててもらうと 1着80万円もするそうな!(再笑) ただ 番組を制作した方が どうしてBrexitをテーマにした番組の最後を この話題にしたのでしょう? 歴史ある確固としたスタイルに 重きを置く文脈なら スタイルが意味するのは 大英帝国の歴史と価値感で ファッションが意味するのは EUのコンセプト ということ? ファッションの柔軟性も必要だよ という文脈なら スタイルが意味するのは EUの例外を許さない画一性で ファッションが意味するのは その画一性を嫌うイギリスの柔軟さ? 制作者が言いたかったのは どっちなのかな?(笑) ということで Brexitにまつわる 価値観 伝統 文化 といった 色々な興味深い話題が楽しめた とても面白い番組でした 来週の6/23 イギリスの人達は どのような結論を出すのでしょう? 最新の世論調査では かなり拮抗しているとか ここ数日は 世界のマーケットも イギリスの動向に戦々恐々のようで うーん どうなるのでしょうね、、、
高橋医院