最近は 
気温がだいぶ下がってきて
乾燥もしてきたので
かぜをひかれて
受診される方が増えてきました

でも かぜって なんでしょう?

かぜの原因となるウイルスの写真

実は医学部の授業では
かぜについて学ぶことはありません

少なくとも書き手は学生時代に
かぜについて授業で習ったり
教科書で勉強した記憶がない

不適切な表現かもしれませんが
かぜは家で休養していれば自然に治る病気で
わざわざ授業で学ぶほどの病気ではない 
ということ?

でも 
かぜで困られている患者さんは
とても多いです

そこで 
流行してきたのを良い機会に
かぜについて勉強し直しました

<かぜ ってなんだ?>

かぜ の正体は

*急性の
*ウイルス性の
*上気道炎

でも 上気道炎って なんだ?

と思われる方も多いでしょうから
まずは 
かぜの現場となる呼吸器系について説明します

呼吸器系は 
上気道 と 下気道 
に大きく分かれます

上気道は 
鼻から気管に至る部分で 上から順に
鼻腔
咽頭(扁桃腺とそのまわり)
喉頭
に分けられ

下気道は 
上気道からつながり 肺に至る部分で
*喉頭からつながる気管
*気管が左右に分枝して肺につながる気管支
*左右の
に分けられます

上気道 下気道がある場所を説明する図

で かぜは

上気道で
ウイルスが増殖して炎症を起こし
細胞を傷害することで起こる 
鼻炎 咽頭炎 喉頭炎です

上気道での炎症が
気管支にまで波及することがあり
気管支炎も広義のかぜに含まれます

風邪を起こす部位を説明した図

さらに感染や炎症が拡大すると
肺炎になりますが
肺炎はかぜとは異なる
しっかりとした治療が必要な重篤な病態です

<かぜの特徴>

@特効薬がない

かぜの大きな特徴は 
特効薬がないことです

しかし 放置しておいても 
1週間から10日間で自然に良くなるので
わざわざ薬を飲まなくても

基本的には 
家で栄養や水分を摂り
ゆっくり休養していれば治ります

風邪をひいたときの休養の大切さを訴える図

だから 医学部の講義では教わらない?(苦笑)

でも 仕事などで 
のんびりと家で休めない方が多いですから
症状を和らげる薬を処方します

@ウイルス感染で起こる

かぜは あらゆる年齢層に発症し
健常人でさえ 
大半の人が罹患するごく普通の疾患ですが

80~90%は 
原因がウイルス感染であることも大きな特徴です

かぜの原因となるウイルスは 
200種類以上ありますし

ウイルスはサブタイプが多いですし 
日々 変異していますから
1シーズンに何度でもかかってしまう 
厄介な病気です

また ウイルスに対する特効薬は
インフルエンザなどの特別な場合を除いて
ありませんから
かぜの特効薬はないことになるわけです

かぜをひきおこすウイルスとしては

*ライノウイルス 30~50%
*コロナウイルス 10~15%
*インフルエンザウイルス 5~15%
*パラインフルエンザウイルス 5%
*RSウイルス 5%
*アデノウイルス エンテロウイルス 5%未満
*その他 20~30%

がありますが

風邪の原因となるウイルスの種類と頻度をまとめたグラフ

通常の診療で
原因となるウイルスの種類を
明らかにすることはできませんし

哀しいかな
種類がわかったから 
治療方針が変わるわけでもありません

@ウイルス以外の かぜを起こす病原体

ウイルス以外の
かぜを引き起こす病原微生物としては

A群β溶血性連鎖状球菌(溶連菌) 百日咳菌などの 
 細菌

マイコプラズマなどの
 非定型病原体

がありますが 
ウイルスに比べると頻度はとても低いです

ということで 
かぜはウイルスが上気道に感染して起こる病気で

空気中に浮遊しているウイルスなどの病原体が
気道内に入って気道粘膜に付着し 
細胞内に侵入して増殖すると

体が防御反応を起こして 
炎症が起こり
その結果としてさまざまな症状が出てきます

風邪で起こる症状と症状が起こる仕組み

もちろん ウイルスが気道に侵入しても
実際に発症し症状を示すかどうかは
感染した人の要因(体力 栄養状態 免疫力など)によって
決定されます

かぜの原因となる人の要因(体力 栄養状態 免疫力など)をまとめた図

かぜの正体は 
急性の ウイルス性の 上気道炎である

次回は ウイルスがどうやって感染するか 
どんな症状が出るかを説明します


高橋医院