糖質ダイエットの変遷
中央区・内科・高橋医院の ダイエットに関する情報 糖質ダイエットは いつ頃 誰が始めたのでしょう? @糖質ダイエットのオリジンは アトキンス・ダイエットです アメリカの医師 ロバート・アトキンスは 1972年に著書 "Diet Revolution" で 肥満をひきおこすのは 炭水化物だと提唱し ステーキ 卵 バターなどを 望むまま食べながら 体重を減らせると説き この著書の販売数は 数百万部を超えました 1日の糖質摂取量を 50g以下に制限する 極端で徹底した糖質制限です これが 糖質ダイエットの先駆けとなりました @日本では 江部康二先生が先駆けです 江部先生は 自らの病院で 「人類にとって最高のバランス」として 糖質制限食を推奨・実践されています 炭水化物の量さえ制限すれば タンパク質や脂肪の摂取量には制限がなく お酒も種類によっては許される というもので 効果ばかりでなく 食生活の切り替えが 比較的容易であることも メリットとされています 炭水化物を減らした食事を開始すると 糖尿病患者さんの血糖値は 数ヶ月で改善し コレステロール値 尿酸値 体重などの指標も 多かれ少なかれ改善すると 報告されています ただし 糖尿病の患者さんで 血糖値を下げる薬を飲んでいる方が 炭水化物制限食を実施すると 血糖値が下がりすぎてしまう低血糖を 引き起こす危険がある 肝硬変など肝機能が低下している方は 肝臓での糖新生を行うことができないので やはり低血糖が生じる危険がある 炭水化物を減らすと タンパク質の摂取が増えるが 腎機能の悪い人では タンパク質の摂りすぎにより 悪影響が生じるリスクがある そのため利用する人は この手法を自分に適用できるかどうかの確認が 必須であると指摘 警告されています @最近では 日本の山田悟先生らが中心となり ゆるやかな糖質制限である ローカーボハイドレートが推奨されています 1日の糖質摂取量を 50g以上~150g以下 とする 緩やかな糖質制限で 過度の糖質制限により ケトン産生が生じないよう 摂取量の下限を50gに設定しています ケトン体は 糖質制限により脂肪がエネルギー源になるときに 用いられる物質ですが 体内でケトン体ができることの是非の論争があり そうしたことから 下限を50gに設定されているようです (ケトン体については稿を改めて説明します) この方法での1日糖質摂取量は 日本人の食事摂取基準において 1日の糖質必要量とされている260gの約半分です 白米ご飯1膳(150g)には 約55gの糖質が含まれますから 茶碗半分を1日3回食べると糖質量合計は82.5gで まだ50gくらい糖質がとれます 糖質が多いいも類などのおかずや 間食を控えめにすれば 主食(ごはんやパン)も食べられるゆるい制限で 「ご飯が食べられないなんて つらすぎる」 という人も この方法なら長続きします 実際に 主食をずっと食べられないのはつらいという理由で 糖質制限をギブアップされる方が多いのですが それも起こりにくい カロリー制限や脂質制限と比べても 同等かそれ以上のダイエット効果が得られることが 複数の比較試験で示されています 具体的な方法としては *ご飯の量を半分(70g)程度にする *食パンなら1枚 *麺は半玉 麺は カロリー制限から見ると優等生ですが 糖質制限から見ると危険です というのも 食べ方が速くなるので 食後の血糖値が上がりやすく 蕎麦湯にも糖質が含まれています ですから タンパク質を同時に摂って 吸収を遅らせることも大切です *果物は糖質が多いので要注意 糖質の解説でも言及しましたが 果糖は依存性を起こしやすく 肝臓で中性脂肪になりやすいので 注意が必要です このように糖質ダイエットは 1日の糖質摂取量の上限を どの程度に設定するかで 厳しさが異なってきます *アトキンスダイエットのように 50g以下というのは かなり厳しい原理主義 *ローカーボハイドレートのように 150g以下は 現実的な世俗主義 と言えるかもしれません 最初に述べましたように ダイエットは新たな生活習慣として 長続きできなければ意味がありませんから そうした点からは ローカーボハイドレートの方が現実的かなと 書き手は思っています
高橋医院