中央区・内科・高橋医院の
食事と健康に関する情報



前回 脂質制限の意義が否定されているという話題を
ご紹介しましたが

カロリー制限の大罪 
という山田先生が書かれたネタ本では
まさに カロリー制限の意義 についても
再考されています

カロリー制限の考え方は

摂取カロリーが消費カロリーを上回るので 
余ったカロリーが原因で太る

だから

*inを減らす 
:摂取エネルギーを減らし 従来通りの活動をする

*outを増やす 
:積極的に動いてエネルギーを消費する

ことを ダイエットの目標とします

摂取カロリーが消費カロリーを上回るので余ったカロリーが原因で太ることを示す図


<では カロリー制限は 本当に減量に効果があるのでしょうか?>

肥満の人の減量効果はあることは 
はっきりしましたが

しかし その成果は
糖質制限と変わらないことも
明らかにされています

むしろ糖質制限の方が減量効果がある 
との報告もあります

糖質制限の減量効果を示すグラフ

また 10年間の継続により
体重減少効果はあったものの
心臓病罹患率は変わらなかった
という報告もあります

一方で 
糖尿病の発症率は
カロリー制限により抑制される可能性は
指摘されています

<では カロリー制限は 糖尿病の治療に効果があるのでしょうか?>

糖尿病治療では 
カロリー制限は考えない

というのが 
アメリカやヨーロッパにおける定説となっています

エビデンスがないからです

特に 
肥満でない糖尿病患者さんに
カロリー制限をしても無意味
と考えられています

日本では
25~30kcal/Kgのカロリー制限食が
有効であったと報告されていますが

日本人の糖尿病の半数を占める 
非肥満患者への有効性は
疑問符がつけられています

そもそも日本人は 
肥満でなくても糖尿病になりやすいので

発症したての患者さんの場合は
減量によりインスリン分泌能が改善されますが

既に長期間罹患している患者さんでは 
そうした効果は期待できない

だから

糖尿病患者さんに
やみくもにカロリー制限を強いるのは 
いかがなものか?

と 山田先生は述べられます

カロリー制限食を食べる糖尿病患者さんの様子

山田先生の筆はさらに進み 
カロリー制限そのものを批判されます

<そもそも 日々の食生活でのカロリー計算の実践 継続が難しい>

若鶏と成鶏 
輸入牛と和牛 
天然魚と養殖魚 
初鰹と戻り鰹

ではカロリーが異なるように

同じ食材でも 
カロリーの正確な把握は難しい

確かにカロリー計算は
面倒くさいですよね(苦笑)

最近はレストランなどでも
メニューにカロリー表示を
してくれているところもありますが

あれを自分で計算するのは 
至難の業です


食事中に本を見ながらカロリー計算する人の様子

それに カロリー制限をすると 
食後の満足度が低いので長続きしない

また カロリー制限の弊害  として 
以下の諸点を指摘されます

*長期にわたる継続性と 
 その安全性がはっきりしていない

*タンパク質の摂取が減るので 
 筋肉量が落ち 基礎代謝量が減るために
 リバウンドすると 前より太ってしまう

ダイエット中に基礎代謝量が低下することを示すグラフ

*骨密度の減少を認める

*低栄養 貧血が生じるリスクがある

*特に非肥満の若い女性は 
 過度のカロリー制限をすると危険である




カロリー制限の矛盾を説明した図

このように 
カロリー制限の負の部分が強調されましたが
はたして どうなのでしょう?


カロリー制限の負の部分を強調する図


本当にそうなのでしょうか?

確かにカロリー計算は面倒くさいけれど

でも カロリーを無視してたくさん食べれば
確実に太ることは間違いありません

過剰なカロリー摂取による体重増加を示す図

だから

普段の食生活で 
カロリーに気を配らくても良い
ということはないでしょうし

常日頃 腹八分目は心掛けるべきでしょう

そして

総摂取カロリー量だけに
気をとられるのでなく
食事内容に気をつけることが 
大事なのではないでしょうか?

糖質制限 脂質制限 カロリー制限
それぞれの擁護論 否定論がありますが
いずれも極論に走るのは危険だと思います



どれかをすれば 
他の方法は無視してよい
というものではないでしょう?

糖質にも 脂質にも カロリーにも
それぞれに気配りすべきなのでは
ないでしょうか?

ところで 
カロリー制限の弊害のひとつに
カロリー制限によるタンパク質の摂取低下が
挙げられていましたが
 
どうして カロリー制限で
タンパク質の摂取量が減るのでしょう?

そのわけは 次回に


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