花粉症 蕁麻疹 気管支喘息 アトピー性皮膚炎 

などなど
アレルギーを原因とする病気で悩まれる患者さんは
とてもたくさんおられます

そこで今日からアレルギーの解説を始めます


<アレルギーとは?>

@そもそも アレルギーとは何なのでしょう?

アレルギーを起こす物質(アレルゲン)
に反応して
これを体内から除こうとして
過剰な免疫反応をしてしまうこと

これが アレルギーの本態です

過剰な免疫反応がアレルギーの本態であることを示す図

体にとって有害な物質を除くことは
必要な反応ですが
その反応が過剰になると
症状が強く日常生活に支障が出てしまいます

そして
アレルギーを起こすアレルゲンは
花粉 食物 薬剤など
体にとって無害なものなのに
過剰な反応により
体に有害な反応が起こってしまうのです

全く困った状態です

アレルギーの病態について解説した図

@遺伝 環境要因の両方が関与します

アレルギーの発症には
遺伝要因 環境要因 
の両方が関与します

生活習慣 食生活 住環境
などの環境要因が
アレルギーの発症・増悪に
大きな影響を及ぼすのに対し

人によって異なる反応の程度の差異には
遺伝要因が関わっています

発症に関与する遺伝要因 環境要因についてまとめた図


@アレルギー反応は体のいたるところで生じます

こうしたアレルギー反応が
何によって起こり 
体のどの部分に症状が出るかで 
病名が決まります

気管支でアレルギーの反応が出て 
 気管支が狭くなると
 咳や呼吸がゼイゼイするという症状が出ますが

 これが 気管支喘息

気管支喘息の病態を説明する図

*花粉で
 くしゃみ 鼻水 鼻づまり 目のかゆみが出てくると 
 花粉症

花粉症の症状をまとめた図

といった具合です

<アレルギーが原因となる病気>

@喘息

上述したように 
肺を構成する気管支でアレルギー反応が起こるため
気道に慢性的な炎症が起こり
その狭窄による喘鳴 呼吸困難や咳などが起こる

子どもでも大人でもみられる
代表的なアレルギー疾患で
さまざまな原因物質が存在します

@アレルギー性鼻炎

花粉 ダニなどがアレルゲンとなり 
鼻粘膜でアレルギー反応が起こり
くしゃみ 鼻水 鼻閉 
などの症状が現れる病気です

原因となるアレルゲンにより

・スギやヒノキの花粉
 が原因となる 季節性

・ハウスダスト(ダニ 食物片 ペットの毛やフケ)
 が原因となる通年性

に分けられます

近年の患者数増加が著しく
罹患率は 
1998年に16.2% 
2008年は26.5%
と10%も増え
特に小児での増加が著明です

スギ花粉量の増加や 
生活様式 環境の変化が関与しています


@アレルギー性結膜疾患

眼の結膜でアレルギー反応が起こる病気で
アレルギー性結膜炎がその代表で
眼のかゆみ ごろごろするような異物感 
眼脂などの症状を認めます

花粉などのアレルゲンが原因の
アレルギー性結膜炎(季節性 通年性)

アトピー性皮膚炎に合併する
アトピー性角結膜炎

コンタクトレンズなどの機械的刺激により起こる
巨大乳頭結膜炎

などがあります

アレルギーによる目の病気をまとめた図


@アトピー性 接触性などの皮膚炎

主に小児に認められる
皮膚でアレルギー反応が起こる病気で
増悪・寛解を繰り返す
痒みをともなう湿疹が特徴的です

加齢とともに減少し
10歳頃には自然に軽快することが多いのですが
10代後半から再発したリ
65歳以上の高齢者で認められるケースもあります

食物 発汗などの物理的刺激 吸入アレルゲンなどが
アレルゲンと考えられ
感染やストレスが病態を修飾します

ベースには
皮膚のバリア機構の異常が存在する
と考えられています

接触皮膚炎
外用薬 化粧品 光刺激などで
アレルギー反応が起こる病気です

接触皮膚炎で痒がる人の様子

@蕁麻疹

さまざまな原因で 
皮膚で生じたアレルギー反応により
皮膚に 膨疹 紅斑 かゆみ が生じる病気です

4週以内に軽快する急性
それ以上持続する慢性 
に分かれます

日光 寒冷刺激 機械的刺激 発汗 圧迫などの
非アレルギー性の物理的刺激で生じる蕁麻疹もあり
慢性化しやすい傾向があります

ストレスや感染で悪化することが
少なくありません

蕁麻疹で痒がる人の様子


@食物アレルギー

子供で大変大きな問題になる病気ですが
20歳以上の成人例も9%ほど認めます

鶏卵 牛乳 小麦 が
全体の2/3を占める原因アレルゲンです

食物アレルギーの原因食物をまとめた図

@薬物アレルギー

薬物の服用によりアレルギー反応が生じる病気です

原因薬物としては
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)抗菌剤
などが代表的です

薬物アレルギーを疑う人の姿

@アナフィラキシー

皮膚 粘膜 呼吸器 消化器など全身諸臓器で
アレルギー反応が起こり
生命に危機を与えうる過敏反応です

血圧低下 意識障害が起こると
重篤な病態のアナフィラキシーショックになります

幼児 学童に多く認められます

食物 ラテックス 一部の医薬品などが
アレルゲンと考えられますが
運動 低温 高温 日光などの刺激でも
起こることがあります

アナフィラキシーについて説明する図

こうした病気が
代表的なアレルギー疾患です

高橋医院