高血圧と生活習慣の修正
高血圧の治療方針の第1段階は 生活習慣の修正です 特に 130-139/85-89mmHgの 正常値だけれど高目の正常高値血圧の方には 生活習慣の修正が重要になります たとえ正常域内でも 血圧の値が上がれば心血管病リスクは上昇するので 生活習慣の修正を徹底して 高血圧への進展を防ぐ必要があります 特に リスク因子が多く 完成したメタボに該当する 第3層リスクの方は要注意です <生活習慣の修正> @食事 *減塩 ・1日摂取量を6g未満にします ・塩分の90%は 味噌 醤油を含む加工食品から摂取されるので 要注意です ・少しずつ 時間をかけて うす味の食事に移行するようにします *野菜・果物の摂取を増やす *コレステロール・飽和脂肪酸の摂取を控える *降圧効果が高いω3不飽和脂肪酸を含む魚を 積極的に食べる *食物繊維を多く摂取する @減量 運動 *減量 ・4Kgの減量で有意な降圧効果が得られます ・無理せず 長期間かけて ゆっくり減量するのが成功の秘訣です ・減塩と同程度の降圧効果が期待できます *有酸素運動 ・ややきつい程度の早足でも充分です ・毎日30分以上が目標です ・無酸素運動の併用がより効果的 という報告もあります @その他 *節酒 飲酒量を80%ほど減ずると 1~2週間で降圧を認めます *禁煙 *ストレスの管理 *睡眠の管理 @生活習慣修正の複合効果 *上記の組合せにより より効果的な降圧効果が得られます *減塩と減量の組合せ 運動の追加などによる降圧効果増強が 報告されています 生活習慣の修正は 降圧薬開始後も持続させることが重要です *たとえ降圧薬治療を開始しても 生活習慣の修正が上手くいっていないと 治療効果を得ることができません *是非とも患者さんに この点をご理解いただきたいものです <Hypertension paradoxと生活習慣の修正> 高血圧治療に関する 「Hypertension paradox」という現象があります アメリカでは 病院で高血圧と診断された患者さんのうち *治療を受けて降圧目標を達成している人は 4分の1 *治療を受けているけれども 降圧目標に達していない人が 4分の1 *治療を受けていない人は 2分の1 とされています つまり 治療を受けている人は半分だけで さらに 治療を受けていても降圧目標を達成している人は 半数にすぎない 日本でも 降圧目標を達成できているのは 年々増加していますが それでもまだ 男性で約30% 女性で40%にすぎないのが現状です 降圧効果が確認されている さまざまな種類の降圧薬が 治療に用いられているにもかかわらず 治療による血圧管理率が こんなに悪い これがHypertension paradoxです このHypertension paradoxが起こる 原因のひとつとして 生活習慣の修正が充分でないことが 考えられています つまり 薬物治療をしていても 生活習慣の修正をしないと 薬物治療の効果は期待できないということです 薬を飲み始めたから 生活習慣は元に戻っても大丈夫だ というわけにはいかないのです 降圧薬を服用し始めた後も 生活習慣の修正を持続することを 是非ともお願いしたいものです
高橋医院