変わり始めた高血圧治療
2017~2018年にかけて アメリカ ヨーロッパの高血圧治療ガイドラインで 高血圧の基準値 管理目標値の 見直しがなされました また 日本でも2019年に 高血圧治療ガイドラインが改訂されます <アメリカ 2017> @基準値を 130/80mmHg に引き下げました @治療方針は *130〜139/80〜89mmHgで 心血管イベントのリスクがなければ 生活習慣改善 *140/90mmHg以上なら 一律に薬物療法 と変更されました 正常域のなかで高目の血圧の患者さんに 生活習慣改善を中心とした 早期からの積極介入を行って 本格的な高血圧への進行を食い止めようという 狙いがあります <ヨーロッパ 2018> @基準値は140/90mmHgと変更しませんでした @治療方針は *降圧目標は 原則 130/80mmHg以下 とする *高血圧には分類されない 140/90mmHg未満の人には 非常にリスクが高い場合を除き 生活習慣改善のみを行い *高血圧(140/90mmHg以上)と診断された時点から 薬物療法を開始する *薬物治療の対象者には 初期から降圧薬2剤の併用療法を推奨する といった変更がなされました アメリカのように基準値は引き下げないものの 治療は早期から厳密にしましょう という方針です <日本 2019予定> 日本のガイドラインは今年改訂される予定で その草稿が発表されています @基準値は140/90mmHgに据え置き予定 @130〜139/85〜89mmHgを 「正常高値血圧」と呼称していましたが それを「高値血圧」に変更する予定 @降圧目標は 130/80mmHg未満 に引き下げ より厳格な降圧を推奨する予定 のようです 正常域内の血圧でも 血圧が上がれば心血管病のリスクが増えることが 明らかなので 130/80mmHgを超えた 多くの「高値血圧」の人に注意喚起し 生活習慣改善に取り組んでもらうのが狙いです また 130/80mmHg未満への降圧が 有意に予後を改善する とのエビデンスが発表されたため 降圧目標が厳しくされそうです このように各国とも 正常域内高値とされていた人に 積極的に生活習慣改善を働きかけ 本格的な高血圧になるのを防ごうという目論見で ガイドラインの変更を行っています 病気になってから治療をするのでなく 早期介入により 病気になるのを未然に防ぎましょう しかも それを薬による治療でなく 生活習慣修正で行いましょう というコンセプトです 高血圧の診療 治療の景色が 少し変わるかもしれません
高橋医院