高血圧薬物治療のポイント
生活習慣の修正で 満足のいく降圧が得られなかった場合は 第2段階の降圧薬治療を行います <降圧薬治療のポイント> @降圧薬の選択 *さまざまな作用機序の降圧薬がありますが Ca拮抗薬 ARB ACE阻害薬 少量利尿薬 β遮断薬 が主に用いられる降圧薬です
*この中から 積極的な適応 禁忌・慎重使用となる 病態 合併症の有無に応じ 適切な降圧薬が選択されます ・糖尿病 Metsには ARB/ACE阻害薬 ・CKDには ARB/ACE阻害薬 ・脳血管障害慢性期には ARB/ACE阻害薬 利尿薬 ・狭心症 頻脈には Ca拮抗薬 β遮断薬 *積極的適応がない場合の高血圧に対し 最初に投与すべき降圧薬は Ca拮抗薬 ARB ACE阻害薬 利尿薬 のなかから選択します *降圧薬は 1日1回の方が患者さんは飲みやすいでしょうが 24時間にわたって 降圧を持続することがより重要なので 1日2回の投与をせざるを得ない場合があります @複数の降圧薬の併用 *降圧目標を達成するためには 2~3剤の併用が必要となることが少なくありません 作用機序が異なる降圧薬の併用は 降圧効果が大きいからです *2剤の使用として ・ARB/ACE阻害薬 + Ca拮抗薬 ・ARB/ACE阻害薬 + 利尿薬 ・Ca拮抗薬 + 利尿薬 が推奨されています @配合薬 *上記の組合せの2種類の降圧薬の配合剤があります *配合剤を使えば 服用しなければならない薬の種類が減り 患者さんは服用しやすくなり 血圧コントロールの改善につながると期待されます @患者さんに注意していただきたいこと *降圧薬により血圧が低下しても 治癒したわけではありませんので 薬の服用を自己判断で中止しないように していただきたいです *突然 薬を飲むのを止めると かえって血圧が上がることがあり危険です <降圧薬の特徴と副作用> @Ca拮抗薬 *血管平滑筋を弛緩させて 末梢血管抵抗を減じて 血圧を下げる *最も降圧効果が強い *臓器障害のある人 高齢者でも使いやすい *1日1回の服用 *動悸 頭痛 ほてり感 浮腫 便秘などの副作用がある @ARB *Ca拮抗薬についで使用されている *アンギオテンシンによる 強力な血管収縮 体液貯留 交感神経活性化を抑制する *糖尿病 臓器合併症がある患者の第1選択 *心 腎 脳の臓器保護作用がある *インスリン感受性を改善する *Ca拮抗薬 利尿薬と併用できる *副作用は低頻度 *妊婦 授乳婦はダメ *CKDでは要注意 @ACE阻害薬 *心筋梗塞の二次予防に優れる *降圧効果はARBとほぼ同等かやや弱い *空咳が20~30%に1週間~数か月以内に出現するが 中止により速やかに消失する @利尿薬 *主にサイアザイド系が使用される *減塩が困難な人に少量から使用する *高齢者 CKD 糖尿病などの 食塩感受性が亢進した患者に効果が期待できる *治療抵抗性高血圧に有効 *他の薬剤との併用により 効果が増大することが多い *単独でも心血管イベント抑制効果がある *β遮断薬と併用すると 糖・脂質代謝に悪影響を及ぼす @β遮断薬 *心拍出量低下 レニン産生抑制 中枢での交感神経抑制 により効果を発揮する *交感神経亢進がある若年者 狭心症 頻脈 甲状腺機能亢進症が適応 *高齢者 糖尿病では第1選択にはならない *喘息 房室ブロック 褐色細胞腫には禁忌 COPDには慎重投与 <他疾患を合併する高血圧> 今日の最初の方でも説明しましたが 他の疾患を合併していると 使われる薬剤や治療目標値が異なってきます @糖尿病 *130/80が治療目標値 *140/90以上では直ちに薬物治療を開始する *正常高値では3か月間の生活習慣修正の効果で 薬物治療を行うか判断する *ARB ACE阻害薬が第1選択 ARB ACE阻害薬はインスリン感受性を改善させる ACE阻害薬は腎症の蛋白尿を改善させる *Ca拮抗薬 少量の利尿剤が併用される 上の表が示すように 糖尿病 CKD 冠動脈疾患などを合併している方は 治療目標値がより厳しくなります @脂質異常症 *ARB ACE阻害薬が第1選択 *Ca拮抗薬 α遮断薬も適応になる
@肥満 Mets *まずは減量 それだけで血圧が下がります *ARB ACE阻害薬が第1選択 @高尿酸血症 *利尿薬は使わない *ARB ACE阻害薬 Ca拮抗薬 α遮断薬は 尿酸代謝に悪影響を及ぼさない
*ロサルタンは尿酸排泄促進作用を併せ持つ
高橋医院