ジンはイギリスからアメリカへ
前回説明したように 18世紀ロンドンの狂気のジン時代のジンは 砂糖を加えた甘ったるい粗悪な品質でした しかし 19世紀半ばに連続式蒸留器が発明されると これまでより飛躍的に雑味が少なく 度数の高いスピリッツが 蒸留できるようになりました 洗練された ロンドン・ドライ・ジン の誕生です ロンドン・ドライ・ジンは 辛口 ドライで ボタニカルを重視するタイプで まず連続式蒸留器で アルコール度数の高いスピリッツを作り そこにジュニパーベリーなどの副材料を加えて 再び単式蒸留します 専門の大手蒸留業者が 高級なジンを大量生産で造り始め 今でも大手の ゴードン タンカレー ビーフィーター ギルビー などの有名ブランドが誕生しました 18世紀の酔うための酒から 安全でおいしい酒に生まれ変わり 上流階級の紳士たちも バーやクラブでジンを飲むようになりました そして19世紀末に ジンはアメリカにわたります アメリカでジンは カクテルのベースとして 上流階級の間でも人気を得ました アメリカの自由な社会が 自由な発想でカクテルを生み出し ジンはそのカクテルの発達に大きく貢献します カクテルは 急激に始まったアメリカの都市化に悩む人たちの ストレスを癒す効果もあり 当時は朝に飲まれていたそうです 女性も ストレートでなくカクテルなら ジンを気兼ねなく飲んでいたとのこと なかでも人気だったのが ドライ・マティーニ 20世紀に大爆発したカクテルで いかにもアメリカ的 都会的な大人の飲み物で 高い地位を象徴する飲み物でもありました フルシチョフはドライ・マティーニのことを アメリカの最強の凶器と呼んだそうです マティーニについては こちらもご覧ください さて やがてマティーニは フルシチョフの国のお酒 ウオッカでも 楽しまれるようになりました 007・ジェームスボンドが シェイクしたウオッカ・マティーニを好んだので 1970年代には ジン・マティーニの人気を上回るようになり 一時期 ジンはイギリスでもアメリカでも 過去の遺物となってしまいました ちなみに書き手は その時の気分で飲み分けますが 基本的には ジン・マティーニより ウオッカ・マティーニの方が 落ち着いていて好きかな 華やかな気分のときは ジン・マティーニ 両方飲むときは 先にウオッカ・マテイーニ(笑) ジンをベースにしたカクテルは マティーニ以外にもたくさんありますが 個人的にご贔屓なのが 007映画でもお馴染みの ヴェスパー ジンとウオッカの両方を3:1で加え キニーネの風味がするアペリティフワインの キナ・リレを0.5たらしたもの エールビールかポータービール1パイントに ジンを1ショット加えたドッグズ・ノーズも お好みです あ でも ジュネヴァを飲むときは ビールはカクテルにせずに 由緒正しくチェイサーでね!(笑)
高橋医院