クラフト・ジン
一時期 ウオッカに押されていたジンですが 1980年代後半になると復活してきます きっかけは 1987年に発売された ボンベイ・サファイア それまでは秘伝だったボタニカル・レシピを公開し 使われている10種類のボタニカルを ボトルにデザインしました ジュニパーより柑橘系を強くし 敢えて面倒くさいヴェイパー・インフュージョン造りで 香り際立つ バランスがよい味わいに仕上げたので ジン人気が復活するきっかけとなりました 2000年には タンカレー・テン が発売されます ボンベイより軽く 果実味を前面に出し アメリカ人好みに仕上げました ホワイトグレープフルーツ オレンジ ライムを 別々に蒸留してから ジュニパーを加えて再蒸留しています そして時代は クラフト・ジンの全盛期に突入していきます 今や世界中でクラフト・ジンが大流行 クラフト・ジンは 少量生産で 強いこだわりをもって造られたジンで 町中の規模の小さな醸造所が造っています 特徴あるボタニカルの使用で 他との差別化を図り 少量生産で 質・オリジナリティを重視する 特に2016年後半頃から 大騒ぎになってきました 今や 世界中の街で クラフト・ジンの新たな生産者が急増し拡大していて フランス スペイン 北欧 オーストラリア ニュージーランド など 世界各国で造られています そもそもジンは ウイスキーやブランデーと異なり 樽での熟成が不要で 仕込んですぐに販売できるので 初期投資を早く回収できます ですから ウイスキー蒸留所が 既存設備を有効利用してジンを造り ウイスキーを寝かせている間の 収入源としようとしたのも 大流行の一因となりました 日本でもジンの輸入量は右肩上がりです スコットランドのヘンドリックスが クラフト・ジンの先駆けで 2000年にアメリカ 2003年にイギリスで発売されました ボタニカルの香味付けの2種類の方法 浸漬法 ヴェイパー・インフュージョンの それぞれで造ったものをブレンドするという とてもユニークな作り方で キュウリ バラ カモミールなど ボタニカルにもこだわっていて デリケートでバランスがとれた風味が 斬新でヒットしました このように クラフト・ジンは ボタニカルにこだわるのが特徴的です ジュニパー・ペリー以外の 脇役のボタニカルを上手に使い 使用する独特のボタニカルで個性を演出し 差別化を図ります そのジンを造る地域に特有で オーガニックで エキゾチック そんなボタニカルを多用します また 使用するボタニカルを 個別に蒸留してブレンドするといった 新たな蒸留法も試みています そうすることによって ボタニカルの特徴が より鮮明になるようです 味わい深くリッチで 飲みやすいものが多いので カクテルにせずに ロック ストレートで楽しみます 値段は3000~5000円と ジンにしてはやや高目ですが コニャックなどの他の蒸留酒に比べれば格安です 世界中でたくさん作られているクラフト・ジンの中で 書き手が気に入っているのは アイラモルトウイスキーを造っているアイラ島で 島オリジナルの22種のボタニカルを使用して造った ザ・ボタニスト 香りが華やかで でも落ち着いた感じもして とても美味しいです フランス ノルマンディー産の カルバドスがベースの ル・ジン クリスチャン・ドルーアンは まだ試したことはありませんが興味津々です 日本でも たくさんの種類のクラフト・ジンが 作られるようになりました 季の美は 京都蒸留所で造られる 米のスピリッツがベースのジンです 宇治の玉露 ヒノキ ゆず 山椒など 日本オリジナルの11種類のボタニカルを用いますが ボタニカルの特性に応じて 6つのグループに分けた浸漬液を別々に蒸溜して それぞれのボタニカルの個性を 存分に引き出しています ROKUは 春の桜花 桜葉 夏の煎茶 玉露 秋の山椒 冬のゆず といった日本の四季のボタニカルを使用していて フルーティさが際立つ美味しさです 和美人は 鹿児島の焼酎醸造所が作っている 米焼酎がベースのクラフト・ジンで ゆず キンカン だいだい など 鹿児島産ボタニカル9種を使っています その他にも 芋焼酎や泡盛をベースにしたものもあり 楽しみがいっぱいです(笑) そういえば いつかバーで 季の美を楽しみながら バーテンダーさんとクラフト・ジンの話をしていたら 最近はクラフト・ジンが流行で 若い子がそうした情報を聞きかじって 注文してくれるのだけれど ジン・トニックにしてくれ と言うので困るのですよ とぼやかれていました(笑) 個性あるクラフト・ジンを カクテルにするのは もったいないです ジン・トニックを楽しみたいなら ゴードンとかビーフィーターといった 正統派ロンドン・ドライ・ジンで作ってもらうのが 良いと思います(笑) ほらね 熟成させないお酒だけど ジンもなかなか奥が深いでしょう?(再笑) ネコさまも大好き?(笑) そうそう 最近 季の美さんが こんな面白いクラフト・ジンを作られました! その名も エデイションG なんと シャンパーニュの大御所 アンリ・ジローとコラボして 季の美を アンリ・ジローの樽で熟成させました! たまたま某酒屋さんで見つけて 即買いしましたが 数量限定生産なので もう手に入らないようで ラッキーでした! こんな具合に うっすらと琥珀色を帯びていて 甘い上品なバニラの香りと味わい! ジンの新しい世界です! 製造元は ソーダ割りをお勧めしているようですが もったいなくて ストレートでチビチビ舐めています(笑) あまり冷やさない方が美味しいかも!
高橋医院