これまで説明してきた
経産省主導の
かなりビジネス臭がする
生活習慣病予防政策に対し

「なんかへんだよ?」
という反論が出ています


<病気になるのは自己責任か?>

透析医療に関わる医師は
こうした現状について 
次のような感想を語ります

生活習慣病って冷たい言葉だよね
自己責任を過大に評価している

過大に評価されて大きくなった自己責任を描いたイラスト

糖尿病を悪化させる人は
長時間労働しながら
安い外食に頼る人が多い

目の前のことに精いっぱいで
ギリギリの暮らしで
健康のことなど考えられない
貧困病という側面がある

それに
子どもの頃に置かれた
厳しい環境が積み重なると
大人になってから
不健康になるリスクが上がる

自分の努力では
どうしようもない事情は様々あるのに
今の状態だけで
自己責任かどうか判断するのはよくないし
事実上不可能だ

自己責任の冷たさを揶揄するイラスト

確かに
「肥満になるのは
 社会環境の影響も大きく
 一概に個人の食生活や怠惰さに
 原因を求められない」

という意見は 
世界的なコンセンサスになっていますし

貧困層に肥満や糖尿病が多いのも
紛れもない事実です

ただ 
多くの患者さんたちを診ていて
同じ境遇 環境にあっても
頑張る人とそうではない人がいるのも
事実だと感じます

もちろん 
100%自己責任ではないと思いますが
かといって
自己責任は全く関与しないとも
言えない気がします

生活習慣病と自己責任の関連を示す図


<不健康な「健康帝国」?>

記者さんは こうした現状について
ひとつ間違えば
生きづらくて窮屈な「健康帝国」に
なりはしないか?
と疑問を呈します

@プライバシーを差し出す?

小学校入学と同時に
生命保険会社と契約し
シート状のウェアラブル端末を
下着に貼り付ける

ウェアラブル端末から生体情報が集積されている様子

集められた生体情報は
政府のシステムで一元管理され
規則正しい健康的な生活を送れば
大人になったとき
医療保険の保険料が格段に安くなる

このような
インセンティブによって
健康的な生活を推奨するのが
経産省が提唱する
健康増進・医療費削減施策ですが

個人の健康関係の情報は
究極のプライバシーですから
それをどこまで差し出し 
どんな恩恵を得るべきか?

個々人が 
そんな選択を迫られる時代が来ている

情報の差し出しに迷う人の姿

すでに生命保険各社は
顧客の健康情報を吸い上げるかわりに
特典を与える商品を開発していて

たとえば

契約者がウェアラブル端末を身につけ
1日の歩数の達成状況に応じて
保険料の一部が還付される保険や

健康増進活動への取り組みを
ポイント化し
保険料を増減させる保険が
市場に出ているそうです

ウェアラブル端末などIoTを使って
健康に関するデータを吸い上げ
対象者の健康を管理し 
さぼったら介入する

まさに 
経済産業省が大きな期待を寄せている
ヘルスケア産業の成長分野です

こうしたシステムへの参加を
個人の自由で決められるうちは
良いけれど

何らかの形で
公的な制度に組み入れられたり
ペナルティーを伴う
間接的な強制になったりしたら
どうでしょう?

記者さんはそうした疑問を呈します


高橋医院