厚労省と国立感染症研究所は
昨年から今年にかけて風疹が流行していると
注意を喚起しました

前回 風疹が大流行したのは
2012年から2013年にかけてのことでしたが

下のグラフに示すように
今年に入ってからの患者さんの数の増え方は
2013年の大流行に迫る勢いです

今年の風疹の流行状況


風疹で一番心配なのは
妊婦さんが妊娠20週までに感染することで
胎児がお腹の中で感染してしまい
奇形をもって生まれてきてしまうことです

これを先天性風疹症候群と呼びますが
今年になってその報告も
出てしまっています

今年の先天性風疹症候群の発生状況

患者さんの数がいちばん多いのは
東京 神奈川 千葉 埼玉などの首都圏
ついで大阪 兵庫などでも
多くの患者さんがでています

都道府県別の風疹発生状況
関東地方の風疹発生状況

20歳代~50歳代にかけての男性が圧倒的に多く

そのほとんどが
風疹のワクチンの接種歴がない
または不明の患者さんです

男性の年代別風疹発生状況

一方 女性の患者さんは
男性に比べて圧倒的に少なく
20~30歳代が中心です

女性の年代別風疹発生状況

女性の患者さんの数は 男性の1/4くらいです

風疹発生状況の男女比較
どうして
このような状況が生まれているかというと
中高年の男性の多くが
風疹の抗体を有していないからです

下のグラフの 赤 黄色で示す
1962~78年生まれの女性 79~89年生まれの女性は
抗体を有している人が90%以上ですが

青で示す1962~78年生まれの男性
緑で示す1979~89年生まれの男性は
抗体を有している人が
女性より少ないのがわかります

年代別の風疹抗体保有状況

女性は
ほぼ全ての年代にわたり抗体を有していますが

女性の年代別の風疹抗体保有状況
男性は
35歳~59歳の年代の人達が
他の年代に比べて抗体保有率が低いのがわかります

男性の年代別の風疹抗体保有状況

そして 
今年になって風疹に罹った患者さんは
青の棒グラフで示すように
35~54歳の男性が圧倒的に多く

今年の男女別年代別の風疹発生状況
それらの年代の男性は
青の折れ線グラフで示すように
抗体保有率が女性や他の年代の男性に比べて
はっきりと少ないことがわかります


ということで
30~50歳代の男性は抗体保有率が低いので
風疹に罹るリスクが高く
実際にその年代の男性の患者さんの数が
圧倒的に多いことが明らかにされました

どうして こうした現象がみられるのでしょう?

そして この現状に対して
どのような対策が
行われようとしているのでしょう?

次回 詳しく説明します
高橋医院