砂糖税
タバコやアルコールと同じように 甘い飲み物に税金をかけろ! チョコレートにも 税金をかけてしまえ! 世界では そんな流れになっているのを ご存知でしょうか? <非感染性疾患 NCDsとは?> 世界保健機構(WHO)は 2016年11月に 「生活習慣病の予防の 政府の財政政策をまとめた報告書」 を発表しました この提言では まず 不健康な食事や運動不足 喫煙 過度の飲酒などに起因し 生活習慣の改善により 予防可能な疾患をまとめて 「非感染性疾患(NCDs)」 と呼称し 国際的な対策を呼びかけます NCDsには がん 糖尿病 循環器疾患 慢性呼吸器疾患 などが含まれています でも NCDsは そんなに由々しき問題なのでしょうか? その質問に対する答えは こうです *地球上の全ての人間の死亡原因の 約70%は 生活習慣病です *毎年 700万人以上の人々が タバコが原因となる病気で 亡くなっています *毎年 300万人以上の人々が アルコールが原因となる病気で 亡くなっています *毎年 400万人以上の人々が 肥満が原因となる病気で 亡くなっています タバコやアルコールに関しては 既に税がかけられ その健康被害も社会的に 認知されていますが 健康被害の観点から タバコやアルコールに 勝るとも劣らない肥満に関しては 未だ認識が甘い! と指摘します <肥満を減らさないと健康も経済も悪化する!> 世界の肥満人口は 18歳以上の成人のうち 3分の1が体重過多の状態にあり 男性の11% 女性の15%は 肥満と診断されるレベルにある この肥満人口割合は 1980年から2014年の間に 倍増してしまっている また 4200万人の子供は肥満レベルにあり 特にアジアに 肥満児童が多く分布している 2012年には 糖尿病患者は世界で4億2200万人に達し 150万人は糖尿病で亡くなっている 一方 マッキンゼーが2014年に発表した 肥満に関する調査レポートでは 2兆ドル(約220兆円) 世界GDPの2.8%に相当する金額が 肥満によってもたらされている 経済損失額であり これは 戦争と喫煙による経済損失と ほぼ同額である と指摘し 世界人口に占める肥満の割合は 現在30%だが 2030年には 41%に拡大する可能性を指摘し このままだと 多くの人々の健康問題が 悪化するだけでなく 医療費増大や生産性低下によって 経済損失も拡大する と警告しています <肥満の原因となる砂糖の消費を抑制しないと!> WHOは 肥満増加の原因は 食品メーカーが菓子類や飲料に 人工的に付加する砂糖 (フリーシュガーと呼称)だ とし 栄養学的には このようなフリーシュガーは 人間の生活に一切必要ではないことから 政府が消費を抑制すべきだ と主張します 世界的に肥満人口の割合が 増加していることが 喫緊の課題なので 砂糖の摂取量を下げるために 各国政府は甘味飲料に 「砂糖税」を課すなどして 甘味飲料の価格を釣り上げ 人々の消費マインドを抑制すべきだ というのです 具体的には *フリーシュガー *飽和脂肪酸 *トランス脂肪酸 を用いた食品 飲料に対して 課税し商品価格を上げると 商品の消費量を下げることが 実証的に明らかにされているために リアルな課税を推奨します そして 小売価格に対して 一律に定率課税をするより 砂糖などの含有量や個数に応じて 課税する方が有効だとします <砂糖税の導入へ> こうしたWHOの提言にともない STAX Sugar Tobacco Alcohol Tax 砂糖 タバコ アルコールへの課税政策 を健康政策として導入する国が 世界でどんどん増えてきているそうです メキシコでは 砂糖税を導入した最初の1年間で 砂糖入りの清涼飲料水の消費量が 5%下がり その次の1年間でさらに10%下がりました 南アフリカでは 1990年代にタバコ税を大幅に増やし 喫煙率が約40%も下がりました 一方 フィンランドでは 2003年にアルコール税を減らしたら アルコール関連死亡率が 男性で約15% 女性で約30%も 増加してしまいました このようにSTAXの効果は はっきりと認められています 砂糖税に関しては アメリカの一部の州 フランス ノルウエー デンマーク ハンガリー アイルランド などの欧米の国々でも導入されており 直近では 2018年からイギリスでも 新たに導入されました 砂糖税 日本ではまだ馴染みがなく 初めて聞く言葉かもしれませんが 世界の情勢は想像以上に 進んでいるようです
高橋医院