喘息の治療の評価と予防対策
喘息の治療は 患者さんの症状により重症度・ステップを評価し 用いる薬剤を決定します <重症度・ステップ> @軽症間欠型・ステップ1 症状が週1回未満で軽度で短い 夜間症状は月に2回未満 @軽症持続型・ステップ2 症状が週1回以上だが 毎日ではない 月1回以上 日常生活 睡眠が妨げられる 夜間症状は月に2回以上 @中等症持続型・ステップ3 症状は毎日 月1回以上 日常生活 睡眠が妨げられる 夜間症状は週に1回以上 @重症持続型・ステップ4 治療下でもしばしば増悪 症状が毎日 日常生活が制限される 夜間症状がしばしば
<各重症度・ステップに応じた薬剤選択> @吸入ステロイド薬・ICS 全てのステップで用います ステップにより 低用量 低~中用量 中~高用量 高用量 と使用量を調節します @LABA LAMAの併用 ICSの増量では効果がないときに併用しますが LABAが最も良いとされています @LTRAの併用 肥満 ステロイド抵抗性がありそうな症例や 鼻炎が併発している患者さんで併用します <急性増悪 発作の時> SABA・短期間作用性吸入β2刺激薬の 頓用を行います <治療の評価> @効果の評価 治療開始後の *症状 *発作治療薬の使用頻度 *日常生活の活動制限の程度 *呼吸機能 *増悪(予定外受診 救急受診 入院)の頻度 などから コントロール状態を評価します 評価は 最短2週間 最長1か月で行います @コントロール不十分 *症状発現が週1回以上 *発作治療薬の使用が週1回以上 *運動を含む活動制限あり *増悪が年に1回以上 の場合は コントロールが不十分と評価します @コントロール不良 *不十分項目が3つ以上 *増悪が月1回以上 の場合は コントロールが不良と評価します <治療アドヒアランス不良> 患者さんの治療や服薬に関する認識が不充分なため 指示された治療がうまくいっておらず そのために効果が見られないことがあります こうした服薬のアドヒアランス不良は コントロール不良の危険因子となります ついつい飲み忘れたり 症状が改善したので 自己判断で薬を飲むのを止めてしまうことは よくあることです 患者さんに 症状が改善しても継続した治療が必要であることを 認識していただくことが必要です <服薬以外に注意すべきこと> @アレルギー性鼻炎 肥満 逆流性食道炎 COPD などの 合併症の管理 を充分に行うこと @冬季のインフルエンザワクチン接種 なども 重要です <治療のステップアップ・ステップダウン> @症状が毎週 毎日続く場合は 治療内容を1段階ステップアップし 併用薬を増やしていきます @その前に 吸入手技 服薬アドヒアランスを再度確認します @コントロールが良好な状態が3~6か月持続したら ステップダウンを試みます <治療効果> 7~8割の患者さんで 中用量のICS/LABAでコントロールできるとされています <喘息死の予防 対策> *アレルゲン除去 *禁煙 *ICSを中心とした薬物療法 *発作への適切な対処 が重要です また アドヒアランス不良は 喘息死の危険因子ですので *自己判断による薬の中断をしないように指導する *高齢者は吸入手技を確認する ことが大切です <予防> @一次予防 発症を未然に防ぐために 喘息発症への関与がわかっている危険因子への暴露前に 実施すべき予防で 小児喘息を防ぐために 主に出産前後に実施します @二次予防 アレルゲン暴露により感作された後の 喘息発症前における発症予防です *アレルゲン感作の予防 *アレルゲン回避 *危険因子を有する者への早期診断 治療 などを行います @三次予防 喘息発症後の増悪予防で アレルゲンや非特異的増悪因子を回避することです *アレルゲンを減らすための環境整備 *家庭内のダニ除去 *大気汚染の回避 *気象変化への対処 *呼吸器感染症にかからないようにするための インフルエンザワクチン接種など *禁煙 *肥満防止 *鼻炎の改善 などを行います
高橋医院