喘息の治療について解説します

<治療の管理目標>

@気道の炎症を制御して
 発作や症状がない状態を保つ

気道炎症の制御の状態は
FeNOや喀痰好酸球数で評価します
 

@将来のリスクを回避する

具体的には

*呼吸機能の経年低下を抑制する

*喘息死を回避する

*治療薬の副作用発現を回避する

といったことが目標になります

喘息治療の管理目標についてまとめた図


<アレルゲン回避を中心とする原因の除去>

薬物治療の前に

*ダニなどのアレルゲンの除去

*タバコの煙の回避

といった環境要因の整備を行います

アレルゲンの除去について説明する図

タバコの煙は
治療で使われる吸入ステロイド薬の効果を
減弱させてしまうので
絶対に避けるようにします

<治療に用いられる薬剤>

@ICS・吸入ステロイド薬

気道の炎症を抑える最も重要な薬剤で
リモデリング抑制効果 気道分泌抑制効果もあります

早期から使用開始すると 増悪を減らせます

しかし完全な治癒は困難で
吸入治療を中止すると 
週・月単位でコントロールが失われます

使用可能な最高量の
半分を中用量 その半分を低用量として
重症度に応じて用量を増加します

コントロールが不良な場合は
増量するより他の薬を追加投与します

喫煙により ICSの効果は減弱してしまいます

また ステロイドによる副腎皮質への影響は
許容範囲内と考えられています

吸入ステロイド薬の写真


@LABA・長時間作用性β2刺激薬

β2刺激の強力な気管支拡張作用により
気管支平滑筋を弛緩させます

吸入 貼付 経口タイプがあります

吸入ステロイド薬と併用することが多い

ステロイドが β2受容体数を増加させ
β2刺激薬は ステロイド受容体の核内移行を促進するので
相互の作用が増強され
吸入ステロイド薬の減量が可能になります

ステロイドとβ2刺激薬の相互作用増強の説明図

副作用は 振戦 動悸 頻脈などで
経口>貼付>吸入の順に強くなります

長時間作用性β2刺激薬の写真

@LAMA・長時間作用性抗コリン薬

COPD治療に用いられている薬剤で
強力な気管支拡張作用があり
気道平滑筋のムスカリンM3受容体に作用します

吸入ステロイド薬と併用されることが多い

効果の上乗せ効果はLABAと同等ですが
吸入ステロイド薬とLABAの併用で効かない重症持続型にも
効果があるとされています

主な副作用は口渇で
緑内障 前立腺肥大では 使用禁忌です

長時間作用性抗コリン薬の作用機序を説明する図


@LTRA・ロイコトリエン受容体拮抗薬

気管支拡張作用 気道炎症抑制作用を有し
リモデリング抑制効果もあります

アレルギー性鼻炎合併例
運動誘発喘息 アスピリン喘息に有用です

基本的には吸入ステロイド薬と併用しますが
抗炎症作用があるので単剤使用も可能です

吸入ステロイド薬との併用効果は
LABAにやや劣るとされています

ロイコトリエン受容体拮抗薬の作用機序の説明図


<追加治療に用いられる抗アレルギー薬>

上記の薬を用いてもコントロールが不良なときは

*メディエーター遊離抑制薬

*ヒスタミンH1受容体拮抗薬

*トロンボキサンA2阻害薬

*Th2サイトカイン阻害薬

などを追加で用います

追加治療に用いられる抗アレルギー薬についてまとめた図


					
高橋医院