うつ病の「こころの症状」
の説明を続けます

前回説明した 核となる

*抑うつ気分

*興味または喜びの喪失

抑うつ気分 興味または喜びの喪失について説明する図

以外にも 下記に示すような症状があります

こころの症状をまとめた図

@思考力の低下

集中力が低下して 仕事の能率が落ちる
些細なことが決断できない

何か仕事を任されたときに
「どうしよう」と焦燥感が強まり
決めようと思ってもなかなか決められず
次第に仕事にも支障をきたしてしまいます

思考力の低下について説明する図

食事の準備のために買い物に出かけても
店で何を買うか決めるのに
時間がかかることもあります

注意力が散漫になり
人の言うことがすぐに理解できなかったり
会話の内容が頭に入ってこないことで
何か質問されても返答が遅くなったり
適切な返事をすることができなくなったりして
話し方もゆっくりになります

本を読んでいても
内容が頭の中に入ってこなくなり
ただ字面を追っているだけで
内容が理解できたという実感が
ほとんどわかなくなるそうです

本の内容が頭に入って来ないことを説明する図


@意欲の低下

好きだった趣味もやる気にならない
友人や家族と話すのも面白くなく面倒になる
テレビ 新聞に興味がない
身だしなみ おしゃれに関心がなくなる

食事を作るのが面倒になってきた
お風呂に入りたくない

といったレベルにまで達するようになり

だんだん何をするのも面倒でしかたなくなり
朝起きて顔を洗う 歯を磨く 着替えるといった
「いつものこと」にとりかかるのも
おっくうに感じるようになります

意欲の低下について説明する図


@知覚の障害

さまざまな感覚が鈍くなり
時間感覚も低下し
現実感が無くなります

現実感の無さを説明する図

@認知の障害

現実を正しく認識できず
ひたすら悲観的になり

まわりの人が説得しても 
どうしようもないと絶望してしまいます

絶望感にさいなまれるうつ病の人


@不安 焦燥

じっとしていられなくなる 
静かに座っていられない
足踏みをする 手首を回す
皮膚や服その他のものを引っ張ったりこすったりする
といった症状がでてきます

このような症状は
「落ち着きがない」レベルを超えて
周りの人がみても十分わかるほど
はっきりとした重い症状に見えます

不安 焦燥について説明する図

不安・焦燥が目立つタイプは
特に高齢者に多いようです


@「遠くへ行きたい・消えてしまいたい」(希死念慮)

つらい気分が続き
物事が思ったようにできなくなるので
あせり 次第に自分を責め
こんなつらい状態から離れたい
つらさから逃れて早く楽になりたい
という気持ちの悪循環が
このような気持ちを生み出します

不安・焦燥が強いと
「消えてしまいたい」
という思いにつながりやすくなり

こうした思いが 
最終的に自殺へと駆り立ててしまいます

自殺へと駆り立てられるプロセスを説明する図


@自分を過剰に責めてしまう妄想

ただひたすらに「私が悪かった」と自分を責め
「もうどうすることもできない」と
絶望感にさいなまれることもあります

うつ病の人が自分を責める様子

本人とは関係のない
またはとるに足らないちょっとした出来事を
自分のせいだと考えてしまい
責任をより重く感じてしまいます
高橋医院